中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

アズームを買った理由⑤ バリエーションについて

猫に小判のイラスト

1.アズームの企業価値

アズームの2020年9月の予想売上は39億2,800万円。予想営業利益は1億9,000万円、予想純利益は1億1,700万円だ。

それに対し、2020年7月17日現在の株価は4,095円、時価総額は59.8億円だ。

ここから計算される予想PERは52.25倍となる。

 

PERから考えるとアズームの株価は随分高い。この数字だけ見ると、とてもじゃないけど買うことが出来ない。

 

しかしアズームは成長している。

次年度である2021年9月の予想売上は49億円、予想営業利益は5億2,000万円。

2022年9月の予想売上は63億円、予想営業利益は9億円。

アズームはそんな数字を予想している。

 

2年と少し後に営業利益が9億円という数字が実現した場合、その純利益は5億4,000万円くらいになるだろう。

純利益が5億4,000万円なら、PER20倍で時価総額108億円、PER30倍で162億円、PER40倍まで評価されるなら216億円という事になる。これは現在の時価総額の3.5倍だ。

 

2年後に株価が3.5倍になるのなら素晴らしい。

本当に売上63億円、営業利益9億円が達成されるのであれば、株価3.5倍は十分現実的だ。本当に達成されるのであれば、だけど。

ならばその可能性を計算して検討していけばいい。

 

 

2.2022年4Qまでの四半期ごとのセグメント売上

アズームのコアとなる事業は月極駐車場のサブリースだ。駐車場マッチングサービスもやっているが、サブリースが売上高の85%を占めている。

「紹介」「サブリース」「その他」に分けた過去の四半期ごとの売上高の推移は以下の通りだ。

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グラフの通り、サブリース事業のみが一貫して成長している。

サブリース事業はストック性も高く、一度契約が成立すれば営業なしで定期的にお金が入ってくる。マッチングサービスはサブリースへ送客するための事業とすら言える。

 

2022年の会社の売上予想が実現するためには、サブリース事業が今後も一貫して伸びる必要がある。

具体的に、2020年9月の予想売上39億2,800万円が2022年に63億円になるためには、次のグラフのようになる必要がある。

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このグラフの2020年2Qまでは実現した実際の数字を使用した。それ以降は会社予想の数字から四半期ごとに必要になる数字を計算した。

その結果、とても綺麗な右肩上がりのグラフが出来た。

 

 

3.サブリース事業の成長には受託台数の積み上げが必要

次はこのグラフが本当に実現できるか、という検討に入る。実現のために必要なことは、サブリース事業の成長だ。

紹介やその他の事業については枝葉末節として将来予測から外した。

 

サブリースのためには、まずオーナーから駐車場を借りてくる必要がある。売るものが無い限り売上は立たない。アズームが借りている駐車場の数は「受託台数」というKPIとして四半期ごとに発表されている。

売上を伸ばすためには、この受託台数を伸ばすことが絶対条件だ。

 

 

過去の受託台数のグラフは以前示した。

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 将来の受託台数は、2020年4Q末で12,200台、2021年4Q末で15,800台、2022年4Q末で20,500台と予想している。これをグラフにすると以下のようになる。

会社はこの受託台数が確保できれば、予想通りの売上が成り立つと考えている。

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 グラフの隙間の数字を計算して予想するとこうなる。

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受託台数は過去一貫して伸びている。一度受託した駐車場がその後契約を解除する事もあると思うが、それほど割合としては多くないのだろう。

受託台数は積み上がっていくタイプのKPIだ。

 

では、四半期ごとにどれほどの新規受託台数を積み上げていけば良いか?

2019年1Q~2020年2Qまでの実績と、その後の必要とされる新規受託台数を計算して作ったグラフがこれだ。

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・・・私のポートフォリオで最も資金を集中させているアズームだけど、株主としてもさすがにこれは達成がキツいんじゃないか?と思えてくる。2020年2Qまでの現実の数字と、3Q以降の予定の数字が乖離しすぎている。

 

勝手に目標達成を1年後倒しにしてみると、四半期ごとに積み上げが必要な受託台数はこんなふうになる。

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これなら十分に達成可能なんじゃないだろうか。

 

ざっくりと説明した以上のような計算で、私はアズームの2023年4Qの数字を以下のように予想した。

売上高 63億円、原価率 60%、販管費 16.2億円、営業利益 9億円、純利益 5.4億円。

PER30倍で評価されるとすると、時価総額162億円。株価は現在の2.7倍である11,093円という事になる。

 

かなり控えめに計算したつもりだけど、このくらいは固いと思っている。

私の予想通りならアズームは3年以内に中期計画を見直す事になるし、そうなれば発表時の株価の下落は避けられないだろう。

それでも「2023年まで持てば株価2.7倍」というのは私にとって十分なリターンだ。だからそれまでホールドする予定だ。

 

実際はどうなるか、もちろんわからない。

 

 

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アズームを買った理由④ 駐車場業界について

不動産屋の建物のイラスト

1.駐車場業界の成長

駐車場業界は成長が著しい。そう言われてもピンとこない方も多いと思う。

日本の人口は減少に向かっているし、「若者の車離れ」といった言葉は随分前から聞こえてくる。実際自動車の保有台数はここ15年くらい増えていない。

 

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 http://www.arclink.co.jp/parking/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B/

 

自動車保有台数は頭打ち。それなのに駐車場業界だけが成長している。ちょっと意味がわからないけど、実際成長している。

下のグラフは駐車場業界の売上の推移だ。

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https://gyokai-search.com/3-parking.html

きれいな右肩上がりのグラフが確認できる。 グラフには縦軸の数字が付いていないが、2018年で駐車場業界の業界規模は3,563億円となっている。

 

自動車の台数が増えていないのに駐車場業界だけが成長している。なぜこんな事が起きるのか?疑り深い方はリンクを踏んで参照元を確認してくれたと思う。すると、以下のような文章があることに気付く。

2018年-2019年の駐車場業界の業界規模(主要対象企業4社の売上高の合計)は3,563億円となっています。」

このグラフの業界規模とは、駐車場業界主要4社の売上高の合計の事を示している事がわかる。そしてこの主要4社のうち、トップであるパーク24のシェアは83.8%と圧倒的だ。

駐車場業界の成長とは、パーク24の成長。その理解で問題ないだろう。

 

 

パーク24をはじめとする大手駐車場業界の企業が売上を伸ばしてきた理由は何か。それについて考えてみる。

 

 

2.町の不動産屋さんは駐車場が嫌い

アパートやマンションを借りる時と同様に、駐車場も不動産屋の仲介によって借りる事が多い。町の不動産屋に出かけて、希望に沿った場所と料金の駐車場を探して借りる。

駐車場の仲介もアパートと同じように、不動産屋に賃料1ヶ月分の礼金を払うことが多いらしい。

 

しかし不動産屋は駐車場の仲介が嫌いだ。お金にならないからだ。

仲介することによって1ヶ月分の手数料が入る。1ヶ月の賃料1万円の駐車場の仲介と、1ヶ月の家賃8万円のアパート。同じような手間でアパートのほうが8倍の手数料になる。それならアパートの仲介をメイン業務にしたくなるだろう。

 

町の不動産屋というやる気のない業者に仲介を頼むくらいなら、駐車場が専門のやる気のある大手業者に頼んだほうがいい。

そうやって町の不動産屋という無数の小さな駐車場業者の業務を吸収し、パーク24などの企業は大きくなってきた。そう考えていいと思う。

 

 

3.駐車場が余っているという話

駐車場業界が伸びているというが、駐車場が余っているという話も存在する。 

前々回の記事にも上げた国土交通省の資料だ。車は減っているのに駐車場が増えている。 その傾向は東京23区内などの都会ほど強いようだ。

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4.駐車場が足りないという話

逆に、駐車場が足りないという話もある。

2016年1月に3大都市圏(東京都、愛知県、大阪府)在住の20代~60代、週に1回以上自動車を運転する男女656名を対象に行った、駐車場に関するアンケート調査の結果がある。

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 https://seed.nagoya/materials/research2_20160405.pdf

空いている駐車場がなくて困っている人は日常的に存在する。 

 

 

駐車場が足りないという話をもうひとつ。

ご存知の方も多い「すぽさん投資ブログ」に、今年のパーク24の株主総会についての記事がある。

その質疑応答でパーク24の社員の方がこう話している。

 

「駐車場事業は実は需要が非常に大きく、供給が追い付いていないという大きな背景がある。東名阪では2100万台必要と言われているが、実際は700万台しか供給できていない。このためどうやって「上手に仕入れるか」ということがポイントになっている。」

https://spotoushi.net/archives/81227417.html

 

業界最大手であるパーク24も、駐車場が足りないという認識でいるようだ。 

両方とも月極駐車場ではなく、時間貸しの駐車場の話ではあるんだけど。

 

 

5.結論:マッチングが悪い

駐車場業界が成長しているという話。駐車場が余っているという話と、足りないという話。 なんだか話が矛盾している。なんでこんな事が起こるのか。

 

それはやはりマッチングが悪いからだろう。

車で通勤する人は、会社のすぐそばに駐車場を借りたい。会社から1kmも離れた所に借りたくない。

借りる人はひとりひとり希望の場所がバラバラだ。しかしそれに見合う駐車場が都合よくあるとは限らない。需要のない場所にどれだけ供給されても、駐車場不足は全く解消されない。

 

そして、仲介業者である不動産屋は駐車場が嫌いだ。

現在の駐車場仲介のEC化率は7%に留まっている。残りの93%は、現在も不動産屋をはじめとする店頭で仲介されている。駐車場が嫌いな不動産屋が、利用者にとってベストな駐車場のために奔走してくれるとは思えない。

 

これらの結果、余っている駐車場と、満たされない駐車場需要が併存している。

私はそう考えている。

アズームは、この駐車場の需要と供給をうまくマッチングさせることで成長している。

 

 

6.次回予告

アズームの駐車場マッチングのためのITについても書く予定だったけど、長くなったのでこのへんで終わります。

 

次回は、アズームの将来の売上や利益の予想とバリエーションについて書きたいと思います。私が、現在のアズーム時価総額60億円を激安だと判断している理由です。

 

 

 「世界倒産図鑑」

ひと月前に読んだ本です。企業の誕生から倒産までの長い話をコンパクトにまとめ、その経緯を上手く抽象化して教訓を引き出してます。とてもおもしろかった。倒産の教訓は投資家にとってとても有用だと思います。

 

アズームを買った理由③ 駐車場の借り手を見つける

車好きのイラスト(女性)

1.マッチングサービス事業

ビジネスを分析するときは「お金を払うのは誰か」という事を十分考えなくてはいけない。アズームのビジネスについては簡単だ。駐車場を借りるひとが月額でお金を払う。

借りる人がいなければアズームが借り上げた駐車場は賃料を支払う一方になる。それでは赤字なので、借り手を見つけてくる必要がある。

借り手を見つけるためにやっているのがアズームのマッチングサービス事業だ。

 

アズームは「Car Parking」という月極駐車場検索サイトを運営している。

駐車場を借りたい人がこのサイトで検索する。アズーム側が借り手にちょうどいい駐車場を提案し、契約する。その際、駐車場料金1ヶ月分のお金を紹介料として受け取る。

これがアズームのマッチングサービス事業のビジネスだ。マッチングサービス事業は、アズームの売上の10%程度を占めている。

 

このサイトが掲載している月極駐車場の総数は、2020年7月5日現在で41,269件。一方アズームが受託しているサブリース駐車場は、2020年2Q時点で10,551件。後述するが、サブリース駐車場の稼働率は90%程度なので、空いている駐車場は10%となる。計算すると、アズームの自社物件は1,055件しか掲載されていない事になる。これはサイトが掲載している駐車場の2.6%に過ぎない。

マッチングサービス事業が仲介しているのは、ほとんどが他社物件という事だ。

 

一方、駐車場マッチングサービスはかなり人手がかかるビジネスらしい。ひとりひとりのお客に、場所や駐車場のタイプや期間などを確認し、契約を結ぶことでようやく紹介料が手に入る。アズーム社長も「マッチングサービス事業は労働集約型事業」と決算説明会で話している。アズームの採用サイトや社員のインタビューを見ても、社員の多くがマッチングサービス事業の営業職に就いているようだ。

 

人件費と手間をかけて、他社の駐車場の紹介をして、受け取るのは1ヶ月分の紹介料のみ。あまり効率的な事業ではない。

だけど、それが重要なんだ。

 

 

2.月極駐車場のプラットフォーマーの地位を目指す

アズームのコアとなる事業は駐車場のサブリースだ。サブリースは、借りてきた駐車場が貸し出されてはじめてお金が入る。借り手が見つからなければ赤字になる。

サブリースの駐車場がどれほど貸し出されているか、というのは重要なKPIだ。これは決算書などに「稼働率」として四半期ごとに発表されている。


過去の稼働率をグラフにしてみた。

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稼働率は86~91%の間を推移している。

当然だが、稼働率は利益率に直結する。これを高く維持することが、アズームのビジネスにとってとても重要だ。空きが出来たらすぐに新しい借り手を探さなければいけない。
この稼働率を高く維持するためにマッチングサービス事業が存在する。

 

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これは2018年の決算説明会のスライドだ。
駐車場の紹介数増加が、サブリース稼働率上昇とストック収益増加につながる事が示されている。

2018年12月21日のオンライン決算説明会で、社長が話していた。
「駐車場の紹介はフロービジネスであり、労働集約型事業でもある。でもそれを頑張ってプラットフォーマーになる。プラットフォーマーになるためには人員がいる。」
マッチングサービス事業は人員をかけた泥臭いビジネスだが、それを地道にやり続けることでサブリース事業の安定稼働が成り立つ。

実際アズームは、マッチングサービス事業に営業の人員を多数配属しているだけでなく、コールセンターも外部に委託せずに社内でやっている。マッチングサービスの品質を上げるための施策だと思ってる。

アズームの社長はやるべき仕事をわかっている。

 

 

3.プラットフォーマーになれたのか?

それで、実際にプラットフォーマーになれたのか?

駐車場を借りたい人の立場に立って考えてみる。
借りたいと思った時、ほとんどの人がGoogleなどで検索するのではないだろうか。そこでの検索順位がプラットフォーマーとしての地位と考えていいだろう。

Googleで「月極駐車場」と検索するとこうなる。

 

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1位 月極駐車場どっとこむ
2位 タイムズ
3位 駐マップ
4位 アットパーキング
  ↓
 画面をスクロールして
  ↓
9位 カーパーキング

 

9位・・・。この結果はツラい。


シェアーズレポートでも、駐車場の検索サイトとしての知名度が低いことをアズームの弱みにあげている。

https://sharedresearch.jp/system/report_updates/pdfs/000/032/504/original/3496_JP_20200601.pdf?1590992370

 

 

しかし、本当に駐車場を借りたい人が、「月極駐車場」と検索する事はないだろう。
「月極駐車場 地名」で検索するのが一般的だと考える。

というわけで、試しにGoogleで「月極駐車場 大手町」と入れてみる。するとこうなる。

 

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東京都の大手町をイメージしていたが、広島市の大手町も含めてカーパーキングが1位と2位を独占している。


いろいろ試してみたが、「上野」「六本木」「赤坂」などの狭い地域で検索ランキング1位になることが多いようだ。「港区」「新宿区」と、すこし広くすると2位。もっと広くして「東京」と入れても2位だった。

 

「月極駐車場」という大きな検索ワードでは弱い。しかし実際に駐車場を探す人が検索するだろう「月極駐車場 (狭い地域)」では、ほとんど1位だった。
これは株主として十分満足できる結果だ。

 

 

もうひとつ。
信用やブランドを考えて直接企業を選ぶ人もいるかも知れない。
Googleで「月極駐車場」と打って検索候補を示させてみると、こうなった。

 

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やっぱりタイムズのブランドは強い。「どっとこむ」のブランドで検索する人もそれなりにいるようだ。


ちなみに「月極駐車場 検索 神奈川」「月極駐車場 問い合わせ」「月極駐車場 空き待ち」「月極駐車場 大阪」での検索順位は、カーパーキングがそれぞれ1位、1位、2位、3位だった。悪くない結果だろう。

 


検索順位と並んでもうひとつ。掲載件数についても調べてみた。掲載件数が少ないサイトはプラットフォーマーになることは出来ない。
大手でも掲載件数を公開していないサイトもある。公開しているものだけを列挙するとこうなった。


1位 カーパーキング  41,269件
2位 駐マップ     30,340件
3位 アットパーキング 29,419件

 

堂々の1位だ。
「駐車場ドットコム」と「タイムズ」の掲載件数は公開されていないのだけど。

 


4.まとめと次回予告

・マッチングサービス事業は売上の割には人手がかかる

・しかしマッチングサービス事業はサブリース事業を成り立たせるための重要なパーツ

・運営している「カーパーキング」というサイトの検索順位ヨシ

・引き続きプラットフォーマーとしての地位を固めるために頑張ってください

 


これでサブリース駐車場の「貸し手」「借り手」について書きました。
次回はアズームを含む「仲介者」について書きます。もちろん競合も含めて。

 

 

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アズームを買った理由② 駐車場の貸し手

立体駐車場(機械式)

1.駐車場を貸してくれる人は増えたか

アズームのコアとなるビジネスは駐車場のサブリースだ。他にも事業はやっているけど、駐車場のサブリース事業が売上の85%を占めている。だからまずはこの駐車場サブリース事業について見ていく。

 

サブリース事業が成長するためには、駐車場を貸してくれる人が増えなくてはいけない。売る商品がなければ売上は伸びないのだから。

貸すために借りている駐車場の数を、アズームは「受託台数」という数字で発表している。その数字をグラフに表したのがこれだ。

 

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上場して日が浅い企業なので、過去の数字はあまり明らかではない。

しかし順調に伸びている事は見て取れる。四半期毎に300~750台程度で増加している。前年同期比では20~26%で伸びている。

この受託台数の成長はアズームの成長そのものだと考えている。

少なくとも今までは確実に伸びてきているのがわかる。

 

 

2.アズームに駐車場を貸す人は増えるか

アズームに駐車場を貸すのは、オフィスビルのオーナーやマンションの管理組合だ。オフィスビルが47%、マンションが47%、その他が6%程度だ。

オフィスビルもマンションも、建設する時に駐車場を併設する義務がある。附置義務駐車場というやつだ。例えば東京都の場合、マンションを建築する時は床面積350平米あたり1台の駐車場を設置する義務がある。1戸50平米のマンションなら、7戸で1台だ。

 

しかし自動車保有率は減少している。一方、マンションを建築するたびに附置義務駐車場は供給されていく。その結果、駐車場の稼働率は下がってきている。都心の一等地に何のお金も産まない空間が遊んでいることになる。この状態は「附置義務駐車場の過剰供給が社会的損失を発生させている」と、国土交通省が認めているくらいだ。

 

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https://www.mlit.go.jp/common/001201346.pdf

 

都心での車の保有率はこれからも下がる。借り手のいない駐車場は、マンションが新しく建築される限り増え続ける。アズームへの駐車場の貸し手が減ることは考えにくい。

 

 

3.アズームに駐車場を貸す人のメリット

いくら駐車場がダブついても、オーナーにメリットがなければ貸す事はない。駐車場のオーナーにとって、アズームに駐車場を貸すとどのようなメリットがあるのか、列挙してみた。

 

① 安定した賃料が入ってくる

駐車場もマンションも、借りてくれる人がいない限り賃料は入ってこない。しかし、もともとダブついている駐車場なのだから借り手がいない。そんな空き駐車場を一括して借りてくれるのがアズームだ。解約されてまた空室になる事もない。安定したキャッシュフローはオーナーにとって魅力だろう。

なお、アズームは賃料の60%を駐車場オーナーに支払っている。20,000円で貸す駐車場に、12,000円の賃料を払っている訳だ。これは同業他社の50%と比較して高いとの事だ。

 

② 必要になったらいつでも返してくれる

もし車を所有する人がマンションに大挙して入居してきた場合、駐車場は返却される。3ヶ月前の申請が必要なのだが、いつでも返してもらえるという制度は貸し手にとって魅力だろう。借り手が現れるまでは安定した賃料を受け取り、現れた後は相場通りの高い賃料を受け取ることが出来るのだから。
ちなみに、アズームの方からの解約はこれまで1件もないそうだ。

 

③ 面倒な手続きは必要ない

空いている駐車場を借りてくれる客を探すのは大変だ。客を見つけた後は、契約書を作ったり、月々の料金を受け取る手続きをしたり、滞納に対応したり、トラブルに対応したりと、面倒なことが目白押しになる。

そんな面倒なことは、それ専門のプロに任せてしまいたい。アズームがその面倒を代行してくれる。

 

 

4.まとめと次回予告

このような背景から、アズームの駐車場受託台数は今後も伸びると予想している。受託台数はアズームにとって最も重要なKPIだ。これが順調に伸びている限り、アズームは成長していると判断できる。前年同期比+25%で増えるなら、3年で売上が2倍になるのだから。

 

今回は駐車場の貸し手について書いた。

次回は借り手について書く予定。

アズームはいかにして駐車場の借り手を見つけてくるのか、という話です。

 

 

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アズームを買った理由① 駐車場のサブリース

駐車場のイラスト

1.アズームを買った。もっと買いたかった。

アズームという企業はtwitterで知った。

大数アルファさん、という方がつぶやいていたので自分でも調べてみた。調べた結果、ものすごく有利な投資物件になるだろうという確信を持った。

アズーム株の購入はスムーズには行かなかった。時価総額が25億円くらいしかない超小型株であり、板がスカスカ。出来高もほとんどない。泡沫投資家の私が買っていくだけでも株価があがってしまう。仕方がないので1日100株、200株という単位で買い進めた。

 

アズームの株価は4月30日の2Q発表で跳ね上がった。

株価の上昇はありがたいのだけど、もっと買う予定だった。上げていく株価に負けじと追撃買いをしたが、ほとんど押し目がなくて困った。

分析記事を書かなかったのは、株価が下がるのを願っていたから。でも自分のブログなど株価には何の影響もない事は知っている。

だから書くことにした。

 

 

2.アズームのビジネスモデル

アズームのコアとなるビジネスは、駐車場のサブリースだ。

駐車場をオーナーから一括して借り上げて、それを利用者に又貸しする。1か月1万円で駐車場を借りてそれを利用者に2万円で貸せば、1万円儲かる。単純に言えばそれだけだ。

 

これだけ聞いても全く儲かるようには見えない。なぜ2万円で貸せる駐車場を1万円で借りることができるのか。オーナーが直接利用者に直接貸せば丸々2万円儲かるのに。

今回はそんなビジネスが成立する理由を書く。

 

 

3.アズームに駐車場を貸す人

マンションや大規模商業施設を建設するときは、駐車場を設置する義務がある。これは駐車場法や大規模小売店舗法などの法律で定められている。

しかしマンションに入居する人がすべて車を所有している訳ではない。入居者が車を持っていない場合、義務によって設置された駐車場は空いてしまう事になる。入居者が駐車場を借りてくれれば使用料が得られるが、空きのままだと何のお金も生まず固定資産税だけがとられていく。

 

そこにアズームがやってきて「月1万円でなら借ります」と言われたらどうだろう。空いたままにしておくよりずっといい。自分で借り手を見つける事ができないなら、相場より安くても貸すだろう。

法律で設置が義務化されている駐車場は必ず余りがでる。アズームはその余った駐車場を借り上げる。

 

 

3.駐車場を借りる人を見つけて、貸す

そうやって借り上げた駐車場を、利用者へ月極で貸す。

月極駐車場という商品は、その立地が価値のすべてだ。車を停めてそこから目的地まで1㎞歩くのを良しとする利用者は少ないだろう。目的地から1㎞も離れれば、利用者にとって価値は激減する。そして目的地は1人ずつ違う。

ひとりひとり違う駐車場への需要と、借り上げた「余ってる駐車場」をマッチングさせる。それがアズームの生み出す付加価値だ。

 

駐車場を借りたい人が見つからなかった場合、アズームにはお金が入らない。しかし駐車場のオーナーには借り賃を払わなくてはならない。その状態が続けばどんどん赤字がかさむ。

そうならないために、需要がありそうな場所の駐車場のみ借り上げる。更にweb上で駐車場検索サイトを運営して集客する。

 

このあたりをどのようにやっているかを、次回書きます。

 

 

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IPSとフィリピンのカントリーリスク②・・ドゥテルテ大統領

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1.ドゥテルテ大統領の経歴が濃い

フィリピンの事を知るためには、フィリピンの政治を執り行っている大統領について知る必要がある。

 

フィリピンのドゥテルテ大統領はものすごくキャラが立っている。タイの首相は知らなくてもフィリピンの大統領は知っているという方も多いだろう。

ドゥテルテ大統領の経歴は、以下のように香ばしいエピソードに満ちている。

 

・フィリピンのレイテ島に生まれ、幼少時にミンダナオ島のダバオに移り住む。

・10代の頃は喧嘩にあけくれ、度々刑務所に出入りしていた。

・16歳の時に初めて人を刺殺した

・大学進学後、少数民族の出自をからかった同級生を銃撃

・タバオで10年間検察官として働いた後にダバオ市長へ

・フィリピン最悪だったタバオの治安を、犯罪者を超法規的に殺害することで改善

・自らも直接犯罪者を3人射殺、また強姦容疑者をヘリから投げ捨てる

・欧米の人権団体やマスコミはドゥテルテ氏を強く批判するも、住民は支持

・2016年よりフィリピン大統領に就任

・大統領就任後も犯罪者を超法規的に射殺することで治安を改善

・2020年1月21日に実施された世論調査で支持率は驚異の82%

 

犯罪者を自ら撃ち殺して治安を良くしたらしい。

大変に濃い人物だ。ウィキペディアを読むだけでお腹いっぱいになれる。

ロドリゴ・ドゥテルテ - Wikipedia

ドゥテルテ政権の支持率82%、全世代と全地域から高い支持(フィリピン) | ビジネス短信 - ジェトロ

 

 

2.ドゥテルテ大統領の公約

このドゥテルテ大統領の公約はシンプルだ。

汚職、麻薬、貧困を撲滅して治安をよくする」である。

その具体的な方法として、これまで通り犯罪者をどんどん現場で射殺する方法がとられた。犯罪者の人権より治安改善を優先した訳だ。

 

大統領就任後1か月で、逮捕現場で警官が犯罪者を射殺する事件が1,800件発生している。就任後半年で射殺された人数は6,182人まで増加した。

もちろんフィリピンにも法廷があり、人権は法律で保護されている。しかしドゥテルテ大統領は「人権に関する法律などは忘れてしまえ」と明言している。

海外の人権団体は当然のように非難しているが、フィリピン国民は「治安が良くなった」という結果を強く支持しているようだ。

 

一方、貧困対策は射殺だけでは行えない。貧困対策はどのように進めるのか。

ドゥテルテ大統領は経済にそれほど明るい訳ではない。そのため、フィリピン航空などの役員でもあるドミンゲス氏を財務大臣に指名し、貧困対策を任せた。

 

貧困対策の方法として以下の3つを上げている。

1.以前の経済政策を継続しながら外資の誘致を行って雇用を創出すること。

2.インフラ投資の拡大を行う事

3.包括的な税制改革を行う事

 

この3つはいずれもIPSにとっては追い風だ。

1.について、IPSはフィリピンにとって外資だし、「外資排斥」のような方向性が決まれば向かい風になる。しかしドゥテルテ大統領は、外資を誘致することで経済発展を目指す従来からの方法を踏襲するようだ。

 

2.について、IPSはフィリピンに通信インフラを構築している最中だ。今後も認可その他の仕事がやりやすくなると考えられる。

 

3.の税制改革には法人税の減税が含まれる。現在のフィリピンの法人税は30%だが、これを毎年1%ずつ減税して2029年には20%にする法案が提出されている。

更に新型コロナ感染症の影響で、法人税を即時25%に減税し、その後20%まで段階的に減らすという案も出されている。

これは、フィリピン国内通信通信事業を行う子会社であるInfiniVANや、医療・美容事業を行うShinagawa Lasik & Aesthetics Center Corporation にとっては間違いなく追い風になる。

https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201903/201903j.pdf#search=%27%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%86%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98+%E5%85%AC%E7%B4%84%27

法人税即時減税の税制改革修正法案を提出、経済特区優遇制度も一部修正(フィリピン) | ビジネス短信 - ジェトロ

 

 

3.フィリピンの産業

フィリピンの産業については、外務省のサイトにこのような記載がある。

「近年、コールセンター事業等のビジネス・プロセス・アウトソーシングBPO)産業を含めたサービス業が大きく成長(全就業人口の約58%が従事)(2019年1月)」

フィリピン基礎データ|外務省

 

 

「コールセンター事業などのBPO産業が大きく成長している」これはどういう事か。

フィリピンは1946年に独立するまでUSAの植民地だった。その事もあってかフィリピンでは英語普通に通じる。英語はフィリピンの公用語の1つだし、学校でフィリピノ語と共に教えられている。ハリウッド映画も字幕無しでテレビ放映されている。


フィリピン人は英語が話せるので、コールセンターが多数作られている。つまり、英語圏でお客様相談センターに電話すると、フィリピンに繋がって対応してくれる訳だ。
このビジネスが成り立つ条件として、海外とつながるインターネット回線が必要だ。いくら英語を話す人材が豊富でも、それをつなげる回線がなければどうしようもない。インターネット回線は、フィリピンの主要産業を支えるインフラなんだ。

 

このBPO産業の基本となるインターネット回線をIPSが敷設している。
フィリピン政府がIPSを排斥する可能性はとても低いだろう。

 

 

4.まとめ

ドゥテルテ大統領はかなりヤバい政治家だがフィリピンを良くしようと考えている

・そのために「汚職、麻薬、貧困を撲滅する」という公約を掲げている

・犯罪者の人権や法律遵守より治安改善を優先

・その手法をフィリピン国民は支持

・経済を発展させるため、外資誘致、インフラ投資拡大、税制改革を行っている

・フィリピンの産業構造からも、ネットインフラを作っているIPSの事業は追い風

・大統領の出身地であるミンダナオ島でもIPSは絶賛投資中

 ・フィリピン政府がIPSを排斥する可能性はとても低い

 

 海外でのビジネスはカントリーリスクがつきものだ。でも日本にも大震災などのリスクは確実に存在している。

海外でのビジネスがメインのIPSをポートフォリオに組み組むことは、震災などのリスクヘッジにもなるのではないか。そんな事も考えています。

 

 

  この本、思ったとおり良かったです。 

 

 山本潤さんが書いたもう一冊の本。こちらもおすすめです。

明豊ファシリティワークスの決算説明会動画を見て

バーチャルYouTuberのイラスト

1.明豊ファシリティワークス決算発表

5月15日に明豊ファシリティワークスは決算を発表した。

売上高43.5億円(前年同期比-22.2%)、経常利益906百万円(前年同期比+16.2%)だった。この数字は、会社の予想よりもコンセンサス予想よりも良かった。

 

発表の翌日、株価は下落した(チャートの赤い矢印が翌日)。

f:id:nigatsudo:20200531182012p:plain

 

その理由は来期予想にある。

売上高39.4億円(前年比-9.4%)、経常利益616百万円(前年比-32.0%)という来期予想を発表したからだ。配当も21.5円から12円に減ってしまった。

決算書は見た目が9割。これは株価が下がって当然だ。

 

 

そんな中、5月29日に決算説明会動画がアップされた。なぜそのような来期予想をしたのか?新型コロナ感染症の現在の影響は?今後の見通しはどうなのか?

気になる点をピックアップしていく。

 

 

2.新型コロナ感染症の影響について

まず新型コロナの影響について語っていた部分を箇条書きで。

・現在のプロジェクトはロックダウン下でも平常稼働している

・テレワークは20年前に開始しており、テレワーク先駆者百選総務大臣賞も受賞してる

・新型コロナの流行で新たなシステムは導入していない。いままで通りで対応可。

・ひとつのプロジェクトに対し2チーム制で動いている。一方のチームに感染者が出現しても、もう一方のチームがカバーし、プロジェクトが止まらない体制を構築した。

 

現在までの影響は軽微だとのこと。

 

・新型コロナの第1波は落ち着いたが第2波の規模や時期は不明。

・平時なら前年度売上実績を上回るが、プロジェクト中断・中止のリスクを踏まえ、来期予想の売上高を-9.4%と保守的に見積もった。

・配当額は今後の業績の伸びに応じて適宜見直す。

 

新型コロナの第2波が来なければ、あるいは来てもプロジェクトが中止されなければ、売上は前年を上回る予定。それに応じて配当も上方修正すると。

 

 

・世界的なサプライチェーン再構築の流れがあり、国内での工場新設案件の増加が見込まれる。

・自社で行っているテレワークやペーパーレス化のノウハウを活用し、今後のオフィス事業の一環として提供していく

 

新型コロナの影響は悪いことばかりじゃないようだ。

 

 

3.従業員数について

来期の売上減少の理由は上記の通り。

営業利益が売上以上に下がるのは「オフィス統合、システム開発、増員のため」だと言っていた。

今期、社員数を増やす予定のようだ。


一方、2019年度は社員数が減っている。

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これが一番気になった。

これまで何度も書いているが、明豊ファシリティワークスのビジネスにとっては人材が命だ。優秀な人材を十分に集めてこそ、会社の業績が伸びる。

 

今回、社員数が10人減少した。そのうち正社員減少数は4人だ。
4人退職して補充がなかったのか、あるいは6人退職して2人入社したのか。詳細はわからない。

しかしヒントはある。会社のサイトにある有資格者のページだ。

有資格者|明豊ファシリティワークスのコンストラクションマネジメント

このページに2020年5月31日現在の有資格者一覧が書かれている。


人材こそが明豊ファシリティワークスの成長に最も重要だと判断した私は、時々このページをキャプチャしている(↓はその一部)。

f:id:nigatsudo:20200601193904p:plain

 

手元にある2019年10月31日の同じページと比較してみた。ほとんど変化はないが、減少している資格者と増加している資格者があった。

 

減少している資格者

  一級建築士     3名減

  構造設計一級建築士 1名減

  建築仕上診断技術者 1名減

 

増加している資格者

 設備設計一級建築士            1名増

 認定コンストラクション・マネージャー  17名増

 LEED-AP                1名増

 CASBEE建築評価員             1名増

 認定ファシリティマネジャー       1名増

 

これ以外の有資格者数は変わらない。

 

元からいた社員が資格を取れば、有資格者数は増える。資格を喪失するような社員はいないと考えると、一級建築士が退職したのだろう。


構造一級建築士や設備設計一級建築士は、一級建築士の上位資格だ。設備設計一級建築士が1名増えているから一級建築士が1名減っているのかもしれない。

 

しかしこれを見ても、いまいちよくわからない。

 

 

4.転職サイトを覗いてみた

私は株を購入する前に、必ず転職サイトの口コミを確認する。

社員が良好な環境でその力を十分に発揮している、というのは企業の成長に不可欠だ。

ブラック企業に未来はないし、たとえ輝かしい成長の可能性があったとしても、そんな企業に投資したくない。

 

今回の社員数減少が、明豊ファシリティワークスの労働環境の悪化を意味していないか

確認するために、もう一度転職サイトを覗いてみた。

転職サイトなので、仕事を辞める人、辞めたい人が利用するのだろう。だから書かれて

いる口コミはある程度割引いて考える必要がある。個人の主観による書き込みなので、

互いに矛盾するような事も書いてある。それらを踏まえた上で、内容を参考にすればい

い。

 

その中でこんな記載を見つけた。

「良くも悪くも個人の能力を求められる。顧客からの引き抜きの声をかけられる・・」

顧客からのヘッドハンティングがあるようなのだ。

 

特に職場環境が悪くなっているような書き込みはない。ヘッドハンティングされて人材

が流出していることはありそうだ。

 

 

社員にもいろいろ都合がある。年老いた両親の面倒をみたいと思っていた矢先に、地元

の企業からヘッドハンティングされれば転職もあるだろう。

今回の社員数減少はそういう事情だと考えておくことにした。

 

 

なお、見たのはOpen worksというサイトです。

https://www.vorkers.com/company_answer.php?m_id=a0910000000FqeC

 

このサイトで比較された建築業界2,704社のなかで、明豊ファシリティワークスは「社員の士気ランキング3位」になっている。

これを見ても「ブラックな職場環境が社員のやる気を削ぎ退職者を増やしている」という事実はなさそうだ。

 

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このサイト、こんな感じに口コミの評価と経常利益をグラフにできたりもします。なかなか秀逸なサイトです。投資の参考に是非使ってみてください

f:id:nigatsudo:20200531192422p:plain

https://www.vorkers.com/a0910000000FqeC/analysis/

 

 

5.まとめ

・顧客のプロジェクト中止や延期がなければ来期売上は前期を上回る予定

・その時は利益も配当も上方修正されるだろう

・新型コロナ感染症によるプラスの影響すら考えられる

・社員数の減少は職場環境の悪化を意味していない。

・来年度、営業利益を削るほどの社員数増加に期待

 もちろんHold継続です。

 

 

 最近読んで面白かった投資本。

失敗にこそ学ぶ点が多いのは投資の世界でも当然当てはまります。

 

ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ