中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

アズームを買った理由⑤ バリエーションについて

猫に小判のイラスト

1.アズームの企業価値

アズームの2020年9月の予想売上は39億2,800万円。予想営業利益は1億9,000万円、予想純利益は1億1,700万円だ。

それに対し、2020年7月17日現在の株価は4,095円、時価総額は59.8億円だ。

ここから計算される予想PERは52.25倍となる。

 

PERから考えるとアズームの株価は随分高い。この数字だけ見ると、とてもじゃないけど買うことが出来ない。

 

しかしアズームは成長している。

次年度である2021年9月の予想売上は49億円、予想営業利益は5億2,000万円。

2022年9月の予想売上は63億円、予想営業利益は9億円。

アズームはそんな数字を予想している。

 

2年と少し後に営業利益が9億円という数字が実現した場合、その純利益は5億4,000万円くらいになるだろう。

純利益が5億4,000万円なら、PER20倍で時価総額108億円、PER30倍で162億円、PER40倍まで評価されるなら216億円という事になる。これは現在の時価総額の3.5倍だ。

 

2年後に株価が3.5倍になるのなら素晴らしい。

本当に売上63億円、営業利益9億円が達成されるのであれば、株価3.5倍は十分現実的だ。本当に達成されるのであれば、だけど。

ならばその可能性を計算して検討していけばいい。

 

 

2.2022年4Qまでの四半期ごとのセグメント売上

アズームのコアとなる事業は月極駐車場のサブリースだ。駐車場マッチングサービスもやっているが、サブリースが売上高の85%を占めている。

「紹介」「サブリース」「その他」に分けた過去の四半期ごとの売上高の推移は以下の通りだ。

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グラフの通り、サブリース事業のみが一貫して成長している。

サブリース事業はストック性も高く、一度契約が成立すれば営業なしで定期的にお金が入ってくる。マッチングサービスはサブリースへ送客するための事業とすら言える。

 

2022年の会社の売上予想が実現するためには、サブリース事業が今後も一貫して伸びる必要がある。

具体的に、2020年9月の予想売上39億2,800万円が2022年に63億円になるためには、次のグラフのようになる必要がある。

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このグラフの2020年2Qまでは実現した実際の数字を使用した。それ以降は会社予想の数字から四半期ごとに必要になる数字を計算した。

その結果、とても綺麗な右肩上がりのグラフが出来た。

 

 

3.サブリース事業の成長には受託台数の積み上げが必要

次はこのグラフが本当に実現できるか、という検討に入る。実現のために必要なことは、サブリース事業の成長だ。

紹介やその他の事業については枝葉末節として将来予測から外した。

 

サブリースのためには、まずオーナーから駐車場を借りてくる必要がある。売るものが無い限り売上は立たない。アズームが借りている駐車場の数は「受託台数」というKPIとして四半期ごとに発表されている。

売上を伸ばすためには、この受託台数を伸ばすことが絶対条件だ。

 

 

過去の受託台数のグラフは以前示した。

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 将来の受託台数は、2020年4Q末で12,200台、2021年4Q末で15,800台、2022年4Q末で20,500台と予想している。これをグラフにすると以下のようになる。

会社はこの受託台数が確保できれば、予想通りの売上が成り立つと考えている。

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 グラフの隙間の数字を計算して予想するとこうなる。

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受託台数は過去一貫して伸びている。一度受託した駐車場がその後契約を解除する事もあると思うが、それほど割合としては多くないのだろう。

受託台数は積み上がっていくタイプのKPIだ。

 

では、四半期ごとにどれほどの新規受託台数を積み上げていけば良いか?

2019年1Q~2020年2Qまでの実績と、その後の必要とされる新規受託台数を計算して作ったグラフがこれだ。

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・・・私のポートフォリオで最も資金を集中させているアズームだけど、株主としてもさすがにこれは達成がキツいんじゃないか?と思えてくる。2020年2Qまでの現実の数字と、3Q以降の予定の数字が乖離しすぎている。

 

勝手に目標達成を1年後倒しにしてみると、四半期ごとに積み上げが必要な受託台数はこんなふうになる。

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これなら十分に達成可能なんじゃないだろうか。

 

ざっくりと説明した以上のような計算で、私はアズームの2023年4Qの数字を以下のように予想した。

売上高 63億円、原価率 60%、販管費 16.2億円、営業利益 9億円、純利益 5.4億円。

PER30倍で評価されるとすると、時価総額162億円。株価は現在の2.7倍である11,093円という事になる。

 

かなり控えめに計算したつもりだけど、このくらいは固いと思っている。

私の予想通りならアズームは3年以内に中期計画を見直す事になるし、そうなれば発表時の株価の下落は避けられないだろう。

それでも「2023年まで持てば株価2.7倍」というのは私にとって十分なリターンだ。だからそれまでホールドする予定だ。

 

実際はどうなるか、もちろんわからない。

 

 

 経済の本を色々書いている橘玲さんの小説です。

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