「捨て猫を拾った不良」がビックチェンジなら買え
1.捨て猫を拾った不良の末路
前回、「捨て猫を拾った不良」を大げさに持ち上げるのは危険だ、という話を書いた。
ちょっと優しいところがあったとしても、不良は不良。万引や暴力を引き続き続けるようなら、一時的な評判の上昇など何の役にも立たない。
それと同様に、一瞬だけ良い決算を出したダメ企業の株を買ってはいけない。
そんな事を書いた。
しかし、人も会社も変わることがある。
いままで全くいい所がなかった人が、何かをきっかけにして成長する。そして自らの未来を変えていく。世の中にはそんな話がたくさんある。
「ビリギャル」も突然目覚めた。
きっと学年ビリのギャルが「なんらかのきっかけ」で勉強を始めたんだろう。そして頑張って結果を出して、慶応大学に受かったのだろう。
読んでいないので全くの予想なのだけど。
雨の日に捨て猫を拾った不良は、子猫との出会いで人生を変えるだろうか。
変える可能性もある、と思っているけど。
2.一時的な変化はスルーしろ
雨の日に子猫を拾った不良。
そのシーンを誰かに見られ、すこし評判が上がることもあるだろう。
しかし子猫の面倒をみるのは大変だ。手間もかかるし、お金もかかる。
キャットフードを万引してくれば問題が解決するほど、子猫の世話はたやすくない。
その不良はちょっと優しいだけじゃなく、賢い部分もあった。
自分には手に負えないと現状を理解し、新しい飼い主を見つけて子猫を譲ることにした。これはこれでいい話だ。
不良のおかげで子猫は幸せに暮らすことができた。
しかし不良はもとに戻った。また以前のような、ただの不良に戻ってしまった。
不良が良くなったのは一時的なものだった。不良の評判も、元の悪いところに戻った。
3.ビックチェンジは買え
では、こんなパターンはどうだろう。
雨の日に子猫を拾った不良。
かいがいしく子猫の世話をしているうちに、どんどん情が湧いてくる。とてもじゃないけど誰かに子猫を譲ることなどできない。
仕方がないのでアルバイトを始める。多少ムカつくことがあっても子猫の世話のためにはお金が必要だ。我慢を覚えながら仕事をきちんとするようになる。
ある日、目を覚ますと子猫が猫耳のかわいい女の子に化けている。不良はびっくりする。
猫耳の女の子は、拾ってくれたお礼を言うこともなく、家事やその他の仕事をすることもなく、いままで通り不良のアパートで好き勝手に暮らす(ネコですから)。
基本的にワガママで気まぐれだけど、時々膝の上に乗ってくる(ネコですから)。
猫耳の女の子は、これからも不良と一緒に暮らすようだ。
女の子と暮らすために、不良は更にまじめに仕事を続けるようになる。
将来の事も考えて貯金も始める。もう誰も「不良」だなんて言わなくなる。
やがて投資もするようになり、いつしか億り人になる。
あの雨の日、子猫を拾った日が、その不良の人生の転機だったのだ。
4.ミクシィの例
何の妄想を垂れ流しているのか?
いえ、株の話です。
一時的な変化はもとに戻る。ちょっと反応した株価ももとに戻る。「子猫をひろっただけの不良」みたいな株は買わないほうが良いだろう。
しかし、それが「ビックチェンジ」となれば話は別だ。
ぜんぜんパッとしない企業でも、何かをきっかけにして大きく変わることがある。
わかりやすい例は「mixi」だ。
ミクシィはほぼ日本最古のSNSであり、多くの人が利用していた。2011年4月の段階で3,900万のIDが発行されている。ある程度の年齢の方なら覚えているだろう。私も少しだけ利用していた記憶がある。
しかし、ミクシィはいろいろな問題もあり利用者が激減した。
利益がじりじり下がってきて、2013年3Qには赤字に転落している。もちろん、株価もずるずると下がっていった。
しかし2013年の4Qには黒字に戻った。そしてそのまま大きく飛躍した。
これはミクシィの10年間の株価チャートだ。
2014年頃から暴騰している。一体何が起こったのか?
理由ははっきりしている。
「モンスターストライク」が大ヒットしたんだ。
これ以上の説明は不要だろう。
オワコンになったSNSを細々と運営していたミクシィがスマホゲームに参入した。そこで「モンスターストライク」という大ヒットを飛ばして復活した。
これが「ビックチェンジ」だ。
ビックチェンジにいち早く気付き、その株を買うことができればすごく良い。
あとはどうやって「ビックチェンジ」にいち早く気づくかだ。
というわけで、次回は「ビックチェンジ」の気づき方について書きます。
捨て猫を拾う不良より、80点を取った出来杉君を買え
1.雨の日、捨て猫を拾う不良
私はネコが好きだ。ネコ好きに悪い人はいない、と思っているくらいだ。
しかし「捨て猫を拾う不良が良い人扱いされる」という話は好きじゃない。
ここでの「不良」とは、「威圧的な態度と服装で周囲を威圧し、飲酒喫煙万引暴力などの違法行為をする高校生」と定義する。40歳の不良、とかはいないはずだ。最近あまり「不良」と触れ合う事がないので間違っているかもしれないが。
飲酒喫煙くらいならば個人の問題なのでプラベート空間で好きにしてくれればいい。しかし万引や暴力などは迷惑だ。迷惑だからこそ、「不良」の評判は悪い。
そんな評判の悪い不良が、雨の日に捨て猫を拾う。
それをたまたま見かけた女の子の中で、その不良の評判が急上昇する。そしてやがて恋愛に発展する。
そんなストーリーが時々ある。
ちょっと検索してみたら、矢沢あいの「天使なんかじゃない」というマンガがヒットした。
このマンガなんだが、1992年に発売されている。「りぼん」という少女マンガ誌に連載されていたようだ。「いらすとや」のイラストにも収録されるほどの有名なシーンなのだから、少女マンガの古典なんだと思う。
興味のあるかたは読んでみてください。
2.捨て猫を拾うヤンキー効果
そんなコテコテの少女漫画じゃないんだから、今どきそんな事で不良の評判が上がったりしない。しかも25年以上前だしw
そんな風に思う方はいるだろう。
しかし現代においても「ギャップ萌え」や「ツンデレ」という言葉が存在する。
普段のイメージと違う「良いこと」や「親しみのあること」が、より評価される。不良が捨て猫を拾ったり、ツンツンした冷たい美人が自分だけにはデレついてくれたり。
普段と違ったところが刺さってくる。
背景と違うからこそ目立つんだ。
この本もそうだろう。
「小学校から名門私立に通い、努力の結果慶応大学に現役合格した話」
では誰も読んでくれない。
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)
「ギャップ萌え」「ツンデレ」「ビリギャル」に加えて、「捨て猫を拾うヤンキー効果」という言葉を提案したい。
「白い服にこぼしたケチャップが目立つ」という単純な話なんだけど。
3.捨て猫を拾う不良は評価できるか?
たとえ捨て猫を拾うような優しさを持っていても、ヤンキーはヤンキーだ。
万引や暴力を繰り返す事と猫をかわいいと思う事は、矛盾なく両立する。キャットフードを万引して子猫を育てることが良いことか?私にはわからない。
株式投資でも時々そんな事がある。
売上も伸びず、利益もギリギリ黒字。有利子負債がたっぷりあり、その利子の負担が会社をジリジリと圧迫している。今後市場環境が改善する気配もなく、生き延びることが最大の目標となったような企業。
そんな企業がたまたま一度だけ良い決算を出す。
そうすると株価が少し回復したりする。
もちろんダメな企業が一時的に良くなったところですぐにもとに戻る。捨て猫を拾ったヤンキーがそれをきっかけに更生すればいいが、そんな事は少ない。一時的にちょっとだけ良い決算を出したところで、ダメな会社はダメなままだ。
「捨て猫を拾うヤンキー効果」で判断を誤ってはいけない。
ダメな会社はまたすぐダメな決算を出すようになる。そんな会社の株を買ってもうまく行かないだろう。
4.80点を取った出来杉君を買え
捨て猫を拾うヤンキーの逆として、「80点をとった出来杉君」というパターンもある。
デキ過ぎるのでテストはいつも満点、スポーツも万能、何をやらせても完璧だ。
そんな出来杉君がテストの当日に高熱をだしてしまった。テストの結果は80点。
いつも100点しか取ったことのない出来杉君だからこそ、80点でも激しく評価を下げてしまう。
「80点を取った出来杉君」のような会社の株は、売られてしまうんだ。
しかし出来杉君なんだから、次のテストはまた100点を取る。100点を取り続けるので、出来杉君の評判は元に戻る。
80点を取った時に株を買った投資家は、報われてお金を増やすことができる。
そんなわけで、私は「決算が悪くて株価が暴落した」というニュースには敏感に反応するようにしている。決算をよくよく読んで、その悪い決算が一時的なものだと判断できた場合、積極的に買うことを検討する。
その会社が間違いなく「出来杉君」なのであれば、次は100点を取るに決まっている。それに伴って株価はもとに戻るのだから。
もちろん、その80点が一時的なものだと確信できた場合に限るけど。
え?バイトのやりすぎで留年?時給は?
1.学生時代のアルバイトの思い出
学生時代に一度もアルバイトを経験しないで社会人になった人を時々見かける。
初めてそんな人に会ったときはとても驚いたが、珍しくもなんともない事がわかった。お金が潤沢にある人はわざわざアルバイトをする必要性がない。十分なお金が親から送られてくるのだから。
私は貧乏学生そのものだった。貧乏なのでお金を稼ぐ必要があった。だからずいぶん色々な仕事をやった。
ビデオレンタル店の店員、食品工場の単純なライン作業員、遺跡の発掘員、コンサートのスタッフ、自動車学校の合宿所の当直、結婚式場のスタッフ、お花見会場の清掃員、食堂の皿洗い、塾講師、リンゴ農家の手伝いなど。
いろいろな仕事が経験できたし、振り返ってみれば楽しかった。そしてちゃんとお金を稼いだ。
私が学生だった頃は、アルバイトが楽しくてそちらが本業になっているような学生も時々いた。大学よりアルバイトの方が生活の中心となり、寝坊やなんやらを繰り返してあまり学校来なくなる。そのうちに出席日数が足りなくて留年する。
そういう学生もいた。
最近はどうなんだろう?
アルバイトが楽しくて仕方がない人っているんだろうか?それで留年する人もまだいるんだろうか?
2.アルバイトのコスト
バイトのやりすぎで留年するなんていうバカなやつはいない。
そう言われてしまえば話は終了してしまうんだけど、本当に昔はいたんだ。バイトをやりすぎて留年する学生が。しかも、結構たくさん。
「〇〇は1ヶ月で26日シフトに入っているらしい。今月16万円稼いだって」
そんな話を時々聞いていた。
16万円と言えば大金だ。手取りでそのくらいしか貰っていない会社員なんて、令和の世の中になった現代でもいくらでもいるだろう。
しかし、そのせいで留年した場合。
その瞬間16万円の稼ぎは激減する。
日本で多分一番学費が安い国立大学の場合、一年間の学費は 53万5,800円だ。
1ヶ月間4万4,650円となる。学費だけでこれだけかかっている。
毎月16万円稼いでも、毎月の余分にかかる学費を引くと11万5,350円。ひと月の収入としては一気にパッとしなくなる。
もちろん学生生活にかかるお金は学費だけじゃない。お腹も減るし、着る服も必要。アパートにも家賃が発生する。
わたしは正しい田舎の貧乏学生だったので、1ヶ月間の家賃は14,000円だった。今どきそんなに安い家賃のアパートで暮らしている学生はごく少数だろう。
首都圏の一人暮らしをする学生が払う1ヶ月あたりの家賃の平均は56,783円らしい。
一人暮らしを始める新入生の家賃相場・平均家賃・通学時間は?東京・首都圏最新版
また、全国大学生活協同組合連合会(COOP)が実施している調査によると、2018年の自宅から通っていない学生への仕送りの平均額は1ヶ月あたり7万1,500円だった。第54回学生生活実態調査の概要報告|全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
これらの数字から、学生ひとりの1ヶ月の生活コストは7万円だと仮定する。
そうすると、留年した大学生がアルバイトで1ヶ月16万円稼いだとしても、学費で4万4,650円、家賃その他の生活費で7万円引かれるわけだから、残りは4万5,350円しか残らない。1ヶ月頑張ってその程度だ。
更に、実は親がこっそり払っている健康保険料や、学生も取られる国民年金などの支払いもある。
更に更に、何にも代えがたい時間が失われる。若い時の1年は40過ぎの人の5年間に相当する。と、個人的に思う。
そんな貴重な時間をはした金と交換するのか?
それらをすべて考えると、時給はいったいいくらになるんだろうか。数十円くらいか?あるいはマイナス時給かもしれない。
それでも大学よりアルバイトを優先するのか?
アホなのか?
3.コストの意識は株式投資で身につく
このブログでは若者の株式投資を推奨している。
株式投資をすると、コスト意識がものすごく身につく。これは株式投資の副産物だ。
MMD研究所というところの調査では、PAYPAYの普及率はスマホを持っている人に限っても2019年2月の段階で8.1%しかいないそうだ。2019年2月 QRコード決済サービスの利用に関する調査
でも、ちゃんとした個人投資家のPAYPAY使用率は80%を超えていると思う。
普通にお金を支払って20%も還元されるのだから、使わない手はないでしょう。
そのような判断ができるようになる能力、面倒な登録をして使えるようにする行動力。
これらはすべて株式投資をすれば手に入る。
だって、20%キャッシュバックだよ?株で20%稼ぐのがどれほど大変かわかってる?
それがリスクなしで手に入ったんだよ?
もう20%キャッシュバックキャンペーンは終わっているけど、それでもちょこちょこお得な事をやっているよ。なんでやらないの?やらない理由がわからない。
4.まとめ
ちょっと話が脇にそれた。
言いたいのは1つだけだ。
「投資家なのに、まさか留年する奴はいないよな?」
できれば浪人も避けてくれ、息子よ。
千里の馬は常にあれど伯楽は常にはあらず
1.投資家の妄想
「あの時に〇〇しとけば、今頃ぜんぜん違う人生を歩んでいただろうなあ・・」
お盆休みに帰省し、つい高校時代のアルバムなどを見てしまう。ちょっとしたきっかけで昔の記憶がよみがえる。
10年以上前の記憶が、当時の感情とともに浮かんでくる。深い水の底から泡がふわふわと上がってくるようだ。
そして甘酸っぱくて死にそうになる。
記憶のなかで自分がとった選択、あるいは取らなかった選択が、その後の人生をどのように変えていくか妄想する。
妄想は楽しいけど役に立たない。過去は決して変わらない。そんな事は言われなくてもわかっている。
まあ、おじさんの娯楽のひとつだ。人の娯楽にケチをつけてはいけない。
「あの時あの株を買っていれば、今頃もう億を超えているのに」
これは多くの投資家が考えることだ。買っていたら、売らなければ。
「たられば」だ。
これは投資家の娯楽のひとつかもしれないが、あまり健全じゃない気もする。
2.とんかつは買ったけど
健全じゃない、といいながら1つ例を。
アークランドサービスホールディングスという会社について。
中学生は「アークランドサービスホールディングス」と言われてもピンとこないと思う。でも「かつや」なら知っているだろう。アークランドサービスホールディングスはとんかつの「かつや」を展開している会社だ。
そのアークランドサービスホールディングスの10年チャートがこれだ。
解説不要なほど、はっきりと株価は上昇している。
2012年1月4日の株価は 170.8円だった。
それが2018年1月4日には 2,671円まで上昇している。
株価は6年で15.6倍になっている。
その間、株式投資家を名乗りながらその株を買わず、とんかつばかり買っていた。
ああ、なんてこった。とんかつじゃなくてアークランドサービスホールディングスの株を買っておけば、今頃運用資産1億円を超えていたのに・・。
3.テンバガーは常にある
このように、株価が10倍を超えて上昇する株を「テンバガー」という。
長期投資家は誰もがテンバガーに憧れる。
私も憧れているが、一度もつかんだ事はない。
しかし、テンバガーは常にある。
2018年の1年間だけで、その株価を10倍にした銘柄は5つあった。
現在日本の株式市場に上場している会社は 3,673社ある。この中のどれかは、間違いなくテンバガーになる。
ただそれがどの会社かわからないだけだ。
タイトルの「千里の馬は常にあれど伯楽は常にはあらず」というのは中国のことわざだ。「千里の馬」というのは1日千里(現在の距離では400km)も走れる優秀な馬のこと、「伯楽」とは、馬の素養を見抜ける人の事だ。
直訳すれば、「素晴らしい馬は常にどこかにいるけど、それを見抜ける人はあんまり居ない」という意味になる。
これは、「素晴らしい人材はいつもいるんだけど、それを見抜いて抜擢できる人はあんまり居ない」という意味で使われる。
「俺は本当はすごく有能なんだけど、だれも抜擢してくれない。だからこんなところでくすぶっているんだ・・。」
どちらかというとそんな中二病患者が使いそうなことわざだ。才能を見出して使ってくれない上司が悪い、環境が悪い、産まれてきた時代が悪い・・。
そんな事を言っている時点で「千里の馬」ではありえない。
だけど株式投資家にとっては身につまされる。
テンバガーは常にあるのだから。
ただ、それを見抜ける投資家はとても少ない。
そしていつもクソ株クソ株といつも文句を言っている。
そんな事を言っている時点で「クソ投資家」決定だ。
私ですか?
ええ、テンバガーなんて一度もつかんだ事はないですよ。
← このマンガ、未読の方は是非一度読んでください。
女性向けですが、男性でも楽しめます。破壊力がすごい・・。
あなたがどれだけ損をして感情的になってもマーケットはかまってくれない
1.決算シーズンが終わって
8月14日をもって夏の決算祭りが終わった。
私のポートフォリオを構成するマークラインズ、ウィザス、日本リビング保証、プレミアグループなどは、いずれも良好な数字を出した。
デジタルガレージ等、見た目がパッとしない決算を出した企業もあったが、内容的には悪くなかった。
ポートフォリオの半分以上が良好な決算を出したにも関わらず、私の資産は増えていない。むしろ減っている。
8月2日から今週末にかけての半月で、私の運用資産は4.20%減った。
決算が発表される事で株価は上下に変動する。
予想より良い数字を出せば上がり、予想より悪い数字を出すと下がる。
それが一般な動きなんだけど、今回の決算に限って言えば良い数字を出しても下がっている株が多い。
もちろん悪い数字を出すと叩き売られている。
決算の内容を見て「Yes!Yes!Yes!」と喜んだのもつかの間。
次の日「あれ、全然上がっていない?昨日見た数字は幻だったか?」
ともう一度決算資料を見直すこともしばしばだった。
今回の決算祭りは当たりのない宝くじだったのかもしれない。
まあそういう事もある。それが株式投資、なんだ。
2.株価が上がらないと
株価が上がらないと、多くの株主はフラストレーションが溜まってくる。
「なんで上がらないんだ、このクソ株!」
「株価対策をしろ、無能経営者!!」
「社長をクビにするのが一番の株価対策だ。」
ネット上にはそんな罵詈雑言があふれる。
ああ、じつに醜い。
感情的になってしまう人が株式投資をやって、勝てるか?
断言する。投資は感情的になると絶対勝てない。
不安とか、恐怖とか、雰囲気にながされやすいとか、強欲とか、ケチとか、熱狂とか。
どれもこれも株式投資の敵だ。
世の中に投資戦略は無数にある、ってことは何度も書いた。無数にあるどの投資戦略でも、感情的になると負けるのは共通している。長期投資でもデイトレでも、バリュー投資でも成長株投資でも、感情的になって勝てる投資戦略はない。
株価が下がって損をして感情的になるのは、カモにされて喰われて退場する一番の近道だ。感情的になった時はこの事を思い出そう。
3.株価が暴落する日も企業は金を稼ぐ
持ち株の株価が下がってつらい時に、思い出すと良い事がもう1つある。
どれだけ株価が下がった日も、その会社の中の人はお金を稼いでくれていることだ。
株を買うという事は、会社を買うことだ。株主になることは、会社の一部を所有する事だ。自分が(一部を)所有する会社がお金を稼ぐことは、自分のお金が増えるのとおんなじ事だ。
つまり株価が暴落しているその当日も、自分のお金は少しずつ増えていると考えればいい。
会社がお金を稼ぎ、資産を増やし、成長してさらにお金を稼ぐようになる。この状況が続けば、必ず株価は持ち直す。それなのに「クソ株、クソ経営者」と、お金を増やしてくれる人に対して文句を言うのはいただけない。
雨は必ず上がるし、冬はいつか終わる。冬が終わった時は、苦しいときも成長を続け資産を増やしていた企業の株価が復活する。
そう思えば、一時的な株価の下落に慌てふためくことはないはずだ。
4.自分の感情は敵だ、他人の感情は味方だ
自分の感情に振り回される限り、投資で勝つことはできない。
しかし実際のマーケットは感情で動く。暴落時やバブルなど、株価が激しく動くときほどそれは著明になる。
感情が激しく揺さぶられて株価の動きが実際の企業価値とズレるときほど、マーケットはゆがんでいると言える。
マーケットのゆがみは投資家にとってチャンスだ。価値あるものを大幅に安く買う事ができれば、投資で負けることはほとんどないんだ。
他人の感情が激しく動くときほど儲けるチャンスだ。
そう考えると、こんな内容のブログを書いている場合じゃない。
もっと恐怖や不安をあおる文章を書くべきなんだな。うん。
マークラインズ2Q決算分析・・・②、あるいはポジショントーク
1.その他の事業が存在感を増している
マークラインズの事業の柱は情報プラットフォーム事業だ。
今回は、情報プラットフォーム事業以外の5つの事業について書く。決算前に書いた記事はこちらです。
この記事の中にこんな事を書いた。
「マークラインズの事業の柱は情報プラットフォーム事業だ。
情報プラットフォーム事業が2018年度の売上高の77%、利益の81%を占めている。
情報プラットフォーム事業以外にも、マークラインズは5つの事業を行っている。
コンサルティング事業、人材紹介事業、LMC市場予測情報販売事業、ベンチマーキング事業、プロモーション広告事業の5つだ。
この5つの事業を足して、ようやく売上高の23%、利益の19%となる。」
決算後は以下のように書き直さないといけない。
「マークラインズの事業の柱は情報プラットフォーム事業だ。
情報プラットフォーム事業が2019年度上期の売上高の71%、利益の81.4%を占めている。
情報プラットフォーム事業以外にも、マークラインズは5つの事業を行っている。
コンサルティング事業、人材紹介事業、LMC市場予測情報販売事業、ベンチマーキング事業、プロモーション広告事業の5つだ。
この5つの事業を足すと、売上高の29%、利益の19.6%となる。」
「その他の事業」が、主力である情報プラットフォーム事業の伸び率を超えて成長している。
マークラインズの売上の3割、利益の2割を占めるようになっている。
2.月次がない予想はただの予想
「その他の事業」は月次がない。だから計算するのは難しい。予想するだけだ。
私は2Q発表前にこんな予想をしていた。
四半期ごとの各事業、売上の推移のグラフで、X軸の14のところが自分の予想。
全体として以下のように予想していた。
マークラインズの「その他の事業」の、
2Qのセグメント売上は377百万円。前年比+63.2%。
2Qのセグメント営業利益は114百万円。前年比+50%。
実際はこんな感じだった。
人材紹介とLMC市場予測が予想より良く、ベンチマークは予想よりずっと悪かった。
全体として以下のような結果だった。
マークラインズの「その他の事業」の、
2Qのセグメント売上は348百万円。前年比+52.0%。
2Qのセグメント営業利益は113百万円。前年比+52.7%。
売上は予想に達していなかったが、利益はほとんどピタリと当たっていた。
まあ完全に偶然なのでドヤる気にもならないんだけど。
それにしても、情報プラットフォーム事業が売上も利益も10%しか(!)成長していないのに、その他の事業は売上も利益も50%以上成長している。これは株主としてはやっぱり喜ばしい。
3.2Q後のそれぞれの事業のポイントとコメント
2Q前の記事に付け足して、2Q後のコメントだけ書いた。
① コンサルティング事業
・顧客企業の依頼に答えてコンサルティングを行う事業
・1Qの売上は58百万円、2Qの売上は56百万円。好調を維持。
・2018年5月より原価低減案を提案するコスト比較分析サービス開始。評判よさげ。
・2018年12月での従業員数は5名
・2018年度の利益率は36.9%、2019年度2Qまでの利益率は36.0%と素晴らしいまま。
② 人材紹介事業
・自動車業界に特化した人材紹介事業
・上のグラフから見ても、四半期ごとにデコボコしてる。
・デコボコの原因は、入社の次期が4月と9月が多いからか?
・1Qの売上は47百万円、2Qの売上は30百万円。今回あんまり下がらなかった!
・2018年度中に人員を増加している。売上増加につながる?
・2018年12月での従業員数は4名
・2017年の利益率は29%、2018年の利益率は18%、2019年2Qの利益率は42.9%!
・利益率すごく改善!自動車産業に特化しているからマッチングがやりやすいから?
・2018年の利益率が落ちたのは、人員増加の影響とのこと
③ LMC市場予測情報販売事業
・販売台数予測などの情報を売る事業
・イギリスのコンサルティング会社であるLMC Automotive Ltd. から情報を仕入れてる
・つまりイギリスの会社の、日本での販売代理店をやっている。
・1Qの売上は28百万円、2Qの売上は48百万円。2Qになって改善している。
・2018年12月での従業員数は2名
・利益率は21.1%。まあ代理店やっているだけだからこんなもんでしょう。
④ 広告事業
・マークラインズのサイトにバナー広告を出すサービス
・売上は実に少なく、まだまだこれから
・1Qの売上は3百万円。2Qの売上は4百万。もっとがんばれ。
・受注は好調に推移していると決算説明資料にあり。3Q以降に期待。
・自社のサイトにバナーを貼るだけ。原価はほとんどかかっていないはず。
⑤ ベンチマーク事業
・BMWやTeslaなどの車両を分解して分析したレポートを売っている
・調査のための、車両、部品調達代行サービスも行っている。
・1Qの売上高は59百万円、2Qの売上は14百万円。なんでこんなに下がった?
・セグメントとしては広告事業とまとめられている
・④と⑤の合計で従業員数1名
・④と⑤の合計で利益率39.5%、1人で稼いでますね。
いずれも売上規模は小規模なんだけど利益率がいい。小規模だけど利益率のいいビジネスを多数抱えている、というのは心強い。
どれか1つがコケても他がカバーできるし。
5つのいずれのビジネスも、情報プラットフォーム事業の上に存在している。
プラットフォームを握っているからこそできるビジネスなんだと思う。
上等なご飯があるからこそ、素材のいい海鮮丼が美味いんだ\(^o^)/
4.全体のまとめ
全体のまとめとして、私は以下のような数字を予想していた。
マークラインズの全体での2Qは
売上 1,226百万円 前年比 +22.4%
営業利益 430百万円 前年比 +23.5%
実際の数字は、
売上 1,199百万円 前年比+19.8%
営業利益 438百万円 前年比+22.3%
だった。
偶然だけど、営業利益は結構近かったと言えると思う。
というわけで、私の下手なポジショントークの時間を終わりにします。
お付き合いありがとうございました(^o^)。
←この本読んだけどやっぱりすごい。
娘と息子にも読ませようと思う。
マークラインズ2Q決算分析・・・①
1.沖縄は雨だった
夏休み、ということで沖縄に行ってきた。
妻と、高2の娘と中2の息子の4人で家族旅行。
台風9号による風と波と雨にずっと悩まされた。「亜熱帯の青い海で泳ぐ」という目的は達せられずに終わった。
それでも久しぶりの家族旅行は楽しかった。
休みが終わって再び仕事が始まる。
まだ頭ははっきりと動いてないけど、マークラインズ2Qの分析記事を書いてみる。
2.情報プラットフォームセグメントの予想と答え合わせ
決算前に業績を予想した記事を書いた。
情報プラットフォーム事業は月次が出されている。その数字から売上や利益を予想したよ、という記事だ。
予想の答え合わせをする前に強調しておきたい。
業績予想の数字そのものより、「月次から業績を予想する方法」を理解するほうがずっと重要だ。
魚そのものより、「魚を釣る方法」を理解する方がずっと重要なように。
マークラインズを例として、月次から業績を予想する方法を具体的に書いた。
結果より方法に注目してほしいんだ。
なんだか予想が当たっていない時の言い訳をしているみたいだが。
まあ、前置きはいいとして本題に移ろう。
私は上の記事でこのように予想した。
情報プラットフォームセグメントの
売上は849百万円、営業利益は386百万円と予想する。
実際の2Qの数字は以下の通りだった。
情報プラットフォームセグメントの
売上は850百万円、営業利益は464百万円。
売上はびっくりするくらい当たっていた。
これは少しくらいドヤってもいいだろう。どやっ!
利益は私の予想より20.2%も良かった。
これは大外れだけど、予想よりもいいんだったらなんでもいい。
なんでもいいと書きながらも、大外れになった原因について現在IRに問い合わせしています。
その原因がはっきりしたらまた書きます。
3.情報プラットフォーム事業の内容
情報プラットフォーム事業について、もう少し内容に踏み込んでいく。
下はマークラインズの2019年2Q決算説明会資料だ。
そしてこれが1年前、2018年2Q決算説明資料。
残念ながら、売上高の伸び率は鈍化しているとしか言えない。
このグラフの通り契約社数は順調に伸びている。
しかし伸び率はどうしても分母が大きくなれば下がってくる。1,000社が1200社に増加すれば20%アップだが、10,000社が10,200社に増加しても2%アップにしかならない。
マークラインズもちゃんと手を打っている。
名古屋支社開設で中部圏の営業を強化し、その結果も出ている。
しかし分母が大きくなれば、成長率についてはどんどんハードルが高くなっていく。
4.それでも成長するマークラインズ
情報プラットフォーム事業については順調に伸びているが、成長率は鈍化している。
「もう成長企業じゃなくなった」
そんな風に言う投資家もいるようだ。
それでも会社全体としては成長率を維持している。
成長の理由は情報プラットフォーム事業以外の部分にある。
次回はマークラインズのその他の事業について書きます。