中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

ビジネスモデル③ 「ニッチトップ」とは・・・ 井の中の蛙大海を知らず、されど天の高さを知る

イグアナのイラスト

こっそり「独占」して儲けている企業を探せ、というテーマでビジネスモデルを考えていくシリーズ。地味だけど読んでくれるありがたい方もいるので、今日も続けます。

 

 

1.イグアナフード業者

私はネコが好きだ。

2018年10月の時点で、ネコは日本国内で965万頭飼われている。犬の890万頭を抑えてペットとしては一番人気だ。みんなネコが好きなようで嬉しい。

https://petfood.or.jp/data/chart2018/3.pdf

 

しかし平成28年度のペット用品出荷額を見ると、犬用品は939億円、猫用品は346億円だ。ネコは犬よりお金がかからないらしい。

http://www.jppma.or.jp/_files/statistics/2018_toukei_all.pdf

 

この数字を見ると、ペット用品の商売をするなら犬用品を扱うほうが良さそうだ。ネコ用の商品を作っても、市場が小さいのであんまり売れなさそうだ。

 

しかしドッグフードを作っているメーカーは100社以上ある。それぞれが特色を出そうとして、犬の健康に配慮したり、犬種ごとに分けたり、子犬用や老犬用のドッグフードを作ったりしている。100社以上が壮絶な戦いを繰り広げているのだ。

 

 では、もっとマイナーなペットではどうだろう。

例えばイグアナのエサは?

平成28年度のペット用品出荷額を調べると、爬虫類用品は15億円だ。これは、犬用品の1.6%、猫用品の4.3%に過ぎない。更に爬虫類のペットとしては、リクガメやヘビやスッポンモドキなどの人気者がいる。そう考えると、イグアナフードの売上は全体でも3億円はないだろう。市場としてはあまりにも小さい。

 

しかしライバルは少ない。

 

 楽天市場と価格ドットコムで調べてみたが、イグアナフードを作っているのは「ビバリアレップカル」というメーカーのみだった。イグアナを飼おうと思ったことがない私は、ビバリアレップカルというメーカーを初めて知った。そもそもイグアナ専用のエサが売られていることすら知らなかった。

 

調べてみたら、ビバリアレップカルはイグアナフード以外にも、リクガメフードやフトアゴヒゲトカゲフード、水棲ガメフードなんかも販売していた。 

 

 ← これ。

 

しかしフトアゴヒゲトカゲフードは「キョーリン」というメーカーも販売していた。

   ← これ。

 

更に、キョーリンというメーカーはベルツノガエルフードやウーパールーパーフードなんかも販売していた。 

      ← これ。

 

楽しくなっていろいろ調べてしまった。

ベルツノガエルを飼っている人にとっては、何を今さら、という話なんだろうけど。

 

 

2.ニッチトップは小さな島の王様だ

話を元に戻そう。

100社以上の競争相手と戦わなければいけないドッグフード業界と、競合がほとんどいないイグアナフード業界。どっちが上手くお金を稼ぐことができるだろうか?

 

競合が多くいればいるほど、値下げ競争は激しくなる。ひとつのメーカーが値下げを始めて攻勢に出れば、他社も売上を奪われまいと値下げする事になる。そうなれば利益はどんどん薄くなり、会社によっては赤字にもなるだろう。

しかし、イグアナフードを作る会社は1社しかない。イグアナフード制作会社は市場を独占しているのだ。独占企業なんだから、値下げ競争は起こりえない。

 

このような狭い市場でトップを取って独占してしまう戦略を「ニッチトップ」という。

ニッチトップは、小さな島の王様だ。大陸に攻め込めばあっさりと負けてしまうような勢力しかないが、小さな島の中では負け知らずだ。

 

多分、ビバリアレップカルという会社には、イグアナフードに関する研究成果やノウハウがたっぷりあるんだろう。ドッグフードメーカーは大きくて強力だが、イグアナの味覚なんて知らない。イグアナフードに関して言えば、ビバリアレップカルの右に出るものはいないのだろう。

 

井の中の蛙大海を知らず、されど天の高さを知る」

そんな会社なんだと思う。よく知らないけど。

 

 

3.市場の小ささそのものが強力なライバルの侵入を阻む

狭い市場の事をニッチという。

爬虫類用品は、全体で15億円しかない小さな市場だ。そのなかで更に、イグアナフードやらリクガメフードやらに分かれている。日本国内でイグアナフードの需要は3億円もないだろう。これは超絶ニッチだ。

 

しかし、この市場の小ささこそが、他社の侵入を阻む城壁になっているんだ。

小さな市場の商品は儲からない。ドッグフードのドギーマンなどが本気でイグアナフードの研究をして商品開発をすれば、ビバリアレップカルはひとたまりもなく潰されるかもしれない。

でもそんなことは起こらない。

小さな市場は、大企業にとってはあまりにも小さすぎて儲からないからだ。小さな企業にとって売上1億円は大きいが、数千億円の売上がある大企業にとっては1億円なんて誤差の範囲だ。

大企業にとって、そんな市場をわざわざ取りに行くなんて、ムダもいいところだ。

だから小さな企業も繁栄する余地があるんだ。

 

小さな企業が小さな市場を独占し、安定した利益をあげていく。そういう企業もけっこうある。小さい企業だけど、独占しているのでちゃんと儲かってる。

弱者の戦略?そうかもしれない。

でも、自分が弱者だと知った弱者は、もう弱者じゃない。自分が勝てる戦場で戦えば、ちゃんと勝つことができるんだ。

 

 

4.まとめ

・狭い市場でも独占してしまえば、それは美味しい市場だ。

・ニッチトップは小さな企業であることが多いが、よく儲かってる。

・ネコはかわいい。

 

 

このニッチトップ戦略で上手く行きそうだった会社の株を買ったことがある。

MKシステムっていう会社なんだが・・・。失敗して、大変苦い思いをした。

 

その話はまた、いずれ。