中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

7086 きずなHDを買った理由①・・予測可能な未来

お葬式の心配をしている人のイラスト

1.きずなHDを買った

きずなHDは葬儀会社だ。葬儀サービスを展開している。

 

2021年1月12日から14日にかけて、このきずなHDを買った。

1月10日に本格的購入を決定したが、そのすぐ後の1月14日に2Qの決算発表が予定されていた。決算後に株価が跳ね上がって買えなくなるのは嫌なので、12日月曜日からの3日間でそれなりの株数を仕込んだ。

 

世の中には「ポジションを持ったまま決算を迎える」、いわゆる「決算跨ぎ」が嫌いな人が多いようだ。

私は全然平気だ。きずなHDを決算直前に買った事も特別な事をしているつもりはない。決算ギャンブルに勝った!などとドヤるつもりは全くないです。

きずなHDは月次も出てるし。

 

2Qの発表時にM&Aのニュースがあったりもして、結果的に株価はその後上昇した。決算前に買っておいてよかった。

 

という訳で、久しぶりの企業分析記事は今回買ったきずなHD買った理由について書く。

買った理由は「かなり確実な未来が予測できるから」です。

 

 

2.予想可能な未来

私の投資方針はグロース寄りだ。小型株を安く買って、企業の成長を楽しみながら待つのが好きだ。そのためにはある程度未来を予測しなくてはならない。

 

未来を予測する上で、不確実性には4つのレベルがある。

 レベル1:ほぼ読める未来

 レベル2:分岐していくシナリオ的な未来

 レベル3:見えないけど方向がわかる未来

 レベル4:全く読めない未来

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レベル1のようにほぼ読める未来は存在する。

これから7月に向けて気温は上昇する。小学校6年生は来年中学生になる。

隕石が落ちてきて氷河期が始まるかもしれないが、起こる確率からいってそれを考慮する必要はないだろう。

 

レベル2のシナリオ的な未来

高校受験が成功したら〇〇高校に進学する。ダメだったら△△高校。〇〇高校で頑張れば大学は・・。分岐点を考え確率を考えて未来を読む事は可能。

 

レベル3の方向だけわかる未来

世の中はキャッシュレスが進むだろう。DXが進むだろう。

どんなスピードでそれが進み、だれが勝者になるかはわからないけど方向はわかる。昭和の時代のように現金決済のみに戻るという事は考えにくい。

 

レベル4の全く読めない未来

さっき生まれた子が将来だれと結婚するか、あるいはしないのか。半年後の東京都の天気は晴れか雨か。

こんな未来を予想しようとしても無駄だ。

 

投資を行うなら、レベル1で未来が読める企業に投資したい。 

 

 

3.厚生省の統計

日本の人口はわかっている。人の平均寿命はほぼ分かる。

いつごろ、どのくらい人が亡くなるかは厚労省が将来推計のデータを出している。

 

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Microsoft PowerPoint - 総-8参考1 (mhlw.go.jp)

 

 

日本は少子化が進んで人口が減少し始めている。しかし死亡者数はまだまだ減らない。

死亡者数のピークは2040年頃だ。

これは推計だが、外れることはほとんどない。あと20年くらいで不老長寿の薬が発明される事はあるかも知れないが、全国民に普及することはないだろう。

 

亡くなる人はこれから増える。葬儀市場が縮小することは考えにくい。

 

 

3.長寿と葬儀

一方、平均寿命は伸びている。そして今後も伸びることが予想されている。

これも議論する必要がないほど確実だ。

 

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平均寿命が伸びると、亡くなった時の故人の関係者は少なくなる。

 

60歳くらいで亡くなった場合、職場の人間関係はそのまま残っている。同じ世代の友人も多いし、元気だ。義理も人情もまだまだ現役だ。

亡くなった時の社会的なインパクトは強く、その結果葬儀の参列者は多くなる。

 

一方、90歳くらいで亡くなったときはそうならない。

職場の人間関係はほとんど消えている。職場以外の義理での人間関係はほとんど消失しているだろう。既に旅立った同世代の友人も多く、残っている人も体が弱っている。残った人間関係は家族を中心とした十数名だろう。

 

その結果、葬儀の参列者は少なくなる。これは既に起こり始めている流れだ。

 

 

4.家族葬とは

多くの方は数回の葬儀の参加経験があると思う。

参加した葬儀の中には、故人の事をよく知らない事もあったのではないだろうか。故人が職場の同僚の親だったり、近所の婆さんだったり、10年ほど会っていなかった親戚だったり。

 

それほど親しくなかった故人でも葬儀にも参加する。その結果、参列者の数は多くなる。日本の葬儀における平均の参列者は64名というデータがある。  

 

しかし、最近の葬儀の参列者数は減少し始めている。平均寿命が伸びているのがその原因の1つだ。

 

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会葬者(参列者)の人数は?|第3回お葬式に関する全国調査|いい葬儀 (e-sogi.com)

 

 

最近は、列席者を家族や親しい親族、友人のみに限定し、少人数でゆっくり故人とお別れする「家族葬」という形態が増えてきている。

 

100人の参列者がやってくる葬儀会場と、20人弱の参列者で行われる葬儀会場は別物だ。世間は小さな葬儀会場を必要としている。これからその傾向は強くなっていくだろう。

 

きずなHDは家族葬を中心に行っている葬儀会社だ。

今後の成長がレベル1で「ほぼ読める」。そんな風に考えてこの企業を買った。

 

 

5.まとめと予告

・人は間違いなく死ぬ。未来における死者の数もほぼ決まっている。

・平均寿命は伸びている。その結果、葬儀は小規模になっている。

・きずなHDは小規模な葬儀「家族葬」を提供する企業だ 。

・きずなHDが今後伸びることは「ほぼ読める未来」だと考えた。

 

 

続きます。今後はこんな事を書いていきます。

① 葬儀業界のあらましと、きずなHDのコンセプト

② 売上と利益の予想

③ 競合他社について

④ リスクについて

⑤ バリュエーションについて

 

「ほぼ読める未来」などと書いていますが、リスクもそれなりにあります

リスクについてもきちんと書いていきますので、よければ読んでください。

 

 

 

本文中にある「不確実性の4つのレベル」という話はこの本に載っています。

考え続ける力 (ちくま新書)

対談集ですが、おすすめです。是非一読を。