7086 きずなHDを買った理由①・・予測可能な未来
1.きずなHDを買った
きずなHDは葬儀会社だ。葬儀サービスを展開している。
2021年1月12日から14日にかけて、このきずなHDを買った。
1月10日に本格的購入を決定したが、そのすぐ後の1月14日に2Qの決算発表が予定されていた。決算後に株価が跳ね上がって買えなくなるのは嫌なので、12日月曜日からの3日間でそれなりの株数を仕込んだ。
世の中には「ポジションを持ったまま決算を迎える」、いわゆる「決算跨ぎ」が嫌いな人が多いようだ。
私は全然平気だ。きずなHDを決算直前に買った事も特別な事をしているつもりはない。決算ギャンブルに勝った!などとドヤるつもりは全くないです。
きずなHDは月次も出てるし。
2Qの発表時にM&Aのニュースがあったりもして、結果的に株価はその後上昇した。決算前に買っておいてよかった。
という訳で、久しぶりの企業分析記事は今回買ったきずなHD買った理由について書く。
買った理由は「かなり確実な未来が予測できるから」です。
2.予想可能な未来
私の投資方針はグロース寄りだ。小型株を安く買って、企業の成長を楽しみながら待つのが好きだ。そのためにはある程度未来を予測しなくてはならない。
未来を予測する上で、不確実性には4つのレベルがある。
レベル1:ほぼ読める未来
レベル2:分岐していくシナリオ的な未来
レベル3:見えないけど方向がわかる未来
レベル4:全く読めない未来
レベル1のようにほぼ読める未来は存在する。
これから7月に向けて気温は上昇する。小学校6年生は来年中学生になる。
隕石が落ちてきて氷河期が始まるかもしれないが、起こる確率からいってそれを考慮する必要はないだろう。
レベル2のシナリオ的な未来
高校受験が成功したら〇〇高校に進学する。ダメだったら△△高校。〇〇高校で頑張れば大学は・・。分岐点を考え確率を考えて未来を読む事は可能。
レベル3の方向だけわかる未来
世の中はキャッシュレスが進むだろう。DXが進むだろう。
どんなスピードでそれが進み、だれが勝者になるかはわからないけど方向はわかる。昭和の時代のように現金決済のみに戻るという事は考えにくい。
レベル4の全く読めない未来
さっき生まれた子が将来だれと結婚するか、あるいはしないのか。半年後の東京都の天気は晴れか雨か。
こんな未来を予想しようとしても無駄だ。
投資を行うなら、レベル1で未来が読める企業に投資したい。
3.厚生省の統計
日本の人口はわかっている。人の平均寿命はほぼ分かる。
いつごろ、どのくらい人が亡くなるかは厚労省が将来推計のデータを出している。
Microsoft PowerPoint - 総-8参考1 (mhlw.go.jp)
日本は少子化が進んで人口が減少し始めている。しかし死亡者数はまだまだ減らない。
死亡者数のピークは2040年頃だ。
これは推計だが、外れることはほとんどない。あと20年くらいで不老長寿の薬が発明される事はあるかも知れないが、全国民に普及することはないだろう。
亡くなる人はこれから増える。葬儀市場が縮小することは考えにくい。
3.長寿と葬儀
一方、平均寿命は伸びている。そして今後も伸びることが予想されている。
これも議論する必要がないほど確実だ。
平均寿命が伸びると、亡くなった時の故人の関係者は少なくなる。
60歳くらいで亡くなった場合、職場の人間関係はそのまま残っている。同じ世代の友人も多いし、元気だ。義理も人情もまだまだ現役だ。
亡くなった時の社会的なインパクトは強く、その結果葬儀の参列者は多くなる。
一方、90歳くらいで亡くなったときはそうならない。
職場の人間関係はほとんど消えている。職場以外の義理での人間関係はほとんど消失しているだろう。既に旅立った同世代の友人も多く、残っている人も体が弱っている。残った人間関係は家族を中心とした十数名だろう。
その結果、葬儀の参列者は少なくなる。これは既に起こり始めている流れだ。
4.家族葬とは
多くの方は数回の葬儀の参加経験があると思う。
参加した葬儀の中には、故人の事をよく知らない事もあったのではないだろうか。故人が職場の同僚の親だったり、近所の婆さんだったり、10年ほど会っていなかった親戚だったり。
それほど親しくなかった故人でも葬儀にも参加する。その結果、参列者の数は多くなる。日本の葬儀における平均の参列者は64名というデータがある。
しかし、最近の葬儀の参列者数は減少し始めている。平均寿命が伸びているのがその原因の1つだ。
会葬者(参列者)の人数は?|第3回お葬式に関する全国調査|いい葬儀 (e-sogi.com)
最近は、列席者を家族や親しい親族、友人のみに限定し、少人数でゆっくり故人とお別れする「家族葬」という形態が増えてきている。
100人の参列者がやってくる葬儀会場と、20人弱の参列者で行われる葬儀会場は別物だ。世間は小さな葬儀会場を必要としている。これからその傾向は強くなっていくだろう。
きずなHDは家族葬を中心に行っている葬儀会社だ。
今後の成長がレベル1で「ほぼ読める」。そんな風に考えてこの企業を買った。
5.まとめと予告
・人は間違いなく死ぬ。未来における死者の数もほぼ決まっている。
・平均寿命は伸びている。その結果、葬儀は小規模になっている。
・きずなHDは小規模な葬儀「家族葬」を提供する企業だ 。
・きずなHDが今後伸びることは「ほぼ読める未来」だと考えた。
続きます。今後はこんな事を書いていきます。
① 葬儀業界のあらましと、きずなHDのコンセプト
② 売上と利益の予想
③ 競合他社について
④ リスクについて
⑤ バリュエーションについて
「ほぼ読める未来」などと書いていますが、リスクもそれなりにあります。
リスクについてもきちんと書いていきますので、よければ読んでください。
本文中にある「不確実性の4つのレベル」という話はこの本に載っています。
対談集ですが、おすすめです。是非一読を。