1.医学生物学研究所
医学生物学研究所を購入を開始したのは3月30日だ。4月1日までの3日間で、3,770円~3,825円の値段で買った。
普段株を買うときはもう少し分散させながら買うことが多いのだけど、このときは集中して買った。コロナ関連銘柄として急騰しつつあったからだ。
医学生物学研究所を買った一番の理由は、炎症性腸疾患の検査薬であるNUDT15という商品がこれから伸びると考えたから。
炎症性腸疾患の治療としてチオプリン製剤という薬を使うのだけど、その副作用がでるかどうかは患者さんの遺伝子によって決定される。だからチオプリン製剤を使う前に遺伝子検査をしておけば、副作用が出やすいかどうか予測できる。その遺伝子検査をするための試薬を、医学生物学研究所は製造販売している。
炎症性腸疾患の患者数は国内で21万人いる。
同じような遺伝子検査薬として、大腸がんのRAS遺伝子変異を確認する「RASKET-B」という商品もある。患者数を考えると、この2つだけでも十分成長する可能性があると考えた。その割には安かった。
加えて3月23日、新型コロナ感染症の検査キットを発売するというIRがあった。
翌日3月24日はストップ高。そのまま株価は更に上昇していった。
買おうと思っていた株がどんどん上がってきて焦った。自分の思惑とまったく違う材料で株価が上がっていく。あんまりテーマ化した株って触りたくないが・・。
悩んだ末に3月30日から買い始めた。
「遺伝子検査役で底堅く利益を出しつつ、新型コロナ感染症の検査キットで爆発する可能性もある。宝くじも付いている理想的な株」
そんな風に考えたんだ。
急いで買ってひと安心して、その後でゆっくりもう一度調べた。その結果、自分の考えがとても浅いことに気付いた。
一番期待していた炎症性腸疾患のための遺伝子検査キットの年間推定使用人数は5,100人、という記載を有価証券報告書で見つけたのだ。
炎症性腸疾患の患者数は国内21万人、米国でもFDAの審査が通っている。それなのに年間推定使用人数が5,100人?
少なすぎないか??
そこでようやく自分が炎症性腸疾患について何も知らないことに気付いた。
産婦人科疾患についてはよく知っている。しかし炎症性腸疾患の患者さんを治療したことはない。炎症性腸疾患の治療は何通りもある。その中でチオプリン製剤がどれほど効果があるのか、どんな患者さんに使えるのか、副作用は強いのか。何も知らない。
株を買った後にそう気付いたんだ。
私はチオプリン製剤の商品力について全く知らない。それなのに医者だというだけで知ってるつもりになっていた。知らないことに気づかない事ほど危険な状態はない。
そう考えて4月21日から3日間ほどかけて売却した。
売値は3,880円から3,923円だった。微益撤退となった。
昔から「医者と弁護士は投資が下手」と言われている。
自分は賢いから投資が上手い。そう考えているからミスを認める事ができず、ドツボにハマる。だから投資が下手だという理屈だ。
ミスを認めることが出来ない奴は何をやらしてもダメだ。
自分は気をつけようと思っていたけど、こんな事をしてしまった。多少の医学の知識がエッジになると考えてしまった。実際は何も知らないのに。
甘すぎた。損をしなかったのはただの幸運だった。
余談だが、その後株価はだらだらと下げ続けた。
しかし10月27日に親会社のJSRによって4,400円で公開買付され、現在は上場廃止に向かって手続きが進行している。
投資にはいろいろなことが起こる。
2.ウィザス
学習塾と通信制高校を主力事業とするウィザスは、年初に私のポートフォリオの17%を占める主力銘柄だった。
なぜ買ったのか、なぜ売ったのかは以前の記事を参照してください。
反省点は判断が遅かったこと。
ウィザスを売ったところは青い矢印で示している。
最初に売ったのは2月25日。売った理由はキャッシュポジションを増やすため。このときは678円で売れた。しかし売ったのは所有していたウィザス株の1割ちょっと。
のこりの9割弱はコロナショックの谷底まで付き合った。
過去の記事にも書いたが、ウィザスへの投資がうまくいくためには2つの条件が必要になる。
① 学習塾事業が足を引っ張らない
② 通信制高校の生徒がWeb通学からリアル通学にステップアップしていく
この2つの条件が満たされる可能性はゼロだろう。
その事に気付いた後に残りの9割弱を売った。売却価格は473円から561円。
2月25日に全部売っていれば、2020年のパフォーマンスはずっと良くなっていた。
前提条件が変わったのにHoldを続けていたのは思考停止以外の何者でもない。
投資ストーリーが成り立つ前提条件が崩れたときは、光の速さで逃げるべきだ。
3.吉野家HD
ウィザスと全く同じことは、吉野家HDへの投資にも言える。
内容は全く同じなので繰り返さないが、大事な事なのでもう一度言う。
前提条件が変わったのにHoldを続けていたのは思考停止以外の何者でもない。
投資ストーリーが成り立つ前提条件が崩れたときは、光の速さで逃げるべきだ。
4.まとめと今年の目標
前回の予告では他の銘柄についても書くと言ってましたが、疲れたので終わります。
2021年の投資は2020年の教訓を活かします。
・投資ストーリーが成り立つ前提条件が崩れたときは、光の速さで逃げる
・投資のアイデアを思いついたときは、裏付けとなる事実を全力で調べる
・自分が何を知っているか、何を知らないのかを、よく自覚する
この3つを今年の目標とします。
それでは今年もよろしくお願いします。
明日はもう大発会。我らが愛しき戦場に帰りましょうかw
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私も「本は紙に限る」と思っていましたが、電子版でも十分読めます。しばしば半額セールをやっているので読書量が倍増します。そしてあっという間にタブレット購入のために使ったお金が回収できます。
なんかセールやっているみたいです。