1.吉野家HDを買った理由
このブログでは書いたことがないが、私は吉野家HDの株主だ。
現在も優待券目的で株を保有している。コロナショック以前は400株ほど持っていた。買ったのはポケ丼のキャンペーンが始まったころだ。
普段、吉野家の店内にいる客はおじさんがほとんどだ。なのにその日は家族連れが何組もいる。子供たちはみんなポケモンのモンスターボールを模したどんぶりで牛丼を食べている。どうやらポケ丼というキャンペーンを行っているらしい。小さなポケ丼を一人で3杯注文して食べている30歳くらいの男性もいた。
これは明らかに異変だ。
調べてみると、ポケ丼のキャンペーンは12/19から始まったばかり。
第一弾は3月で終わるが、第四弾まで計画されているようだ。貰えるフィギュアは6種類だが、どう考えてもマイナーなポケモンばかり。ピカチュウなどのメジャーなポケモンのフィギュアは第二弾以降に控えているのだろう。
それでも店舗で客の入りの増加が実感できるほどの人気だ。
客層がおじさんばかりだった吉野家が、ポケ丼を使って新たにファミリー層を取り込む。なかなかいい戦略だ。
更に調べると、吉野家には新しく優秀なマーケッターが入社したようだ。この人がポケ丼を含む様々なキャンペーンを企画しているのだろう。
売上がどのくらい上がるか、その時にどのくらい利益が伸びるか、米国産牛肉の購入量はどのくらいで、為替によってどのくらい利益が影響を与えるか。自分なりにいろいろ計算してみた。
どうやら行けそうだ、と思って吉野家HDの株を購入した。
購入時の株価が「安い!!」と確信をもって判断できるほど安くなかった。同じ評価基準で将来の利益が評価されるのであれば、株価は上昇するだろう。株価上昇には「同じ評価基準であれば」という前提条件が必要だった。だからそれほど多く買うことができなかった。
2.ポケ丼のその後
ポケ丼の第一弾は3月まで続くはずだった。
しかし、予想を超える売れ行きでフィギュアの在庫が切れてしまった。わずか10日程度、12月の終わりにはキャンペーンが中止されてしまった。
なんという機会損失。
しかしキャンペーンの効果がものすごく高いことは証明された。品切れの反省は次回に生かせる。第二弾はそのような弾切れを起こしたりしないだろう。その時こそ売上も利益もドカンと上がるはずだ。ゆっくり第二弾の開始を待てばいい。そう思っていた。
しかしコロナショックが起きた。吉野家HDの株価も下がった。
その時の株価下落がひどすぎたので、ポートフォリオの中での比重が小さい吉野家HDにはそれほど注視していなかった。吉野家HDの株はそのまま売ることもなく放置されていた。
3.成長のストーリーは崩れた
新型コロナの影響はどこまで続くか分からない。
吉野家HDは、テイクアウトを前面に押し出して苦境を乗り越えようとしている。飲食店にしては健闘しているようだ。狂牛病騒ぎで米国産牛肉が輸入できなくなった2004年のエピソードを思い出す。あの時も吉野家は苦しみながらもピンチを乗り越えた。
しかし、当初のストーリー「ポケ丼でファミリー層を顧客として取り込み、売上と利益が上がる」というのは実現困難だろう。
Stay Homeがこれほど叫ばれているご時世で、ポケ丼キャンペーン第二弾が実施されると思えない。成長のストーリーは崩れてしまった。
当初のストーリーが崩れてしまったのに株を持ち続けるのはおかしい。
私は「現状維持バイアス」に陥っていた訳だ。
気付いた後に、優待分を残して売却した。
4.終わりに
まずストーリーが説明しやすい吉野家HDについて書いてみました。
売った銘柄、そのままの銘柄、新しく買った銘柄、いろいろあります。少しずつ書いていく予定ですのでよろしければ読んでください。
行動経済学の入門書としてはこの本もよかったです。