中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

投資や手術が上手くなりたい方へ④

複合現実を使って医療を行う医師のイラスト

1.手術の要素

既にこのシリーズを書くことに飽き始めた。反響もほとんどない。年寄りの昔話は長い、と思い始めている人もいるんじゃないかと心配にもなってくる。

でも書き始めたからにはもう少し続けてみたい。読みたくない人は飛ばしてくれるだろうから気にしないでおく。年寄りは自分に都合の悪いことは気にしないのだ。

 

 

手術が上手い人とは以下の要素がそれぞれ高い人だと書いた。

① 縫合、結紮、剥離、切断などの基本的な手技が上手い

② 人体の立体的な構造への理解が深い

③ こんな時はこうすればいい、というような「引き出し」が多い

④ 出血時などの急な変化にも対応できる対応力を持つ

⑤ 大量出血などの危機にも落ち着いて対応できるメンタルを持つ

 

今回は、② 人体の立体的な構造への理解が深い、の要素について書く。

 

 

2.血管の名前

医学部に入学すると、2年生に上がるころには解剖学が始まる。そこで人体の骨、筋肉、神経、血管、臓器などの位置や形を勉強する。臓器の機能や病気について学ぶのはその後だ。これらは基本なので、医学の授業の最初の方で学ぶ。

 

その後座学を終え、5年生になると臨床実習が始まる。医学生も医師と一緒に手術に入る。手術中、余裕がある時は学生が退屈しないように質問する。

「はい、いま血管を切断しました。この血管の名前はなんですか?」

このような質問をしても答えられるのは3割くらいしかいない。

 

既に教科書では十分に勉強しているはずの学生でも、実際の臓器をみるとそれが何なのか分からない。

教科書はわかりやすいイラストや写真で解説されている。しかし実際の人体は医学生に気を利かしてわかりやすくしてくれない。血管は脂肪その他の結合組織に埋まっているし、しばしば蛇行している。個人差もかなりある。だから実際の人体の内部を見慣れない人は、血管1本の名前すら出てこない。

ひとつの血管を同定するだけでこれだ。

 

そして実際の人体は当然だが立体構造になっている。写真やイラストは平面だ。手術を執刀するためには立体構造を理解している必要がある。

ビルのダクトや天井裏を走っている無数のパイプや電線をイメージしてほしい。それが地面の中に埋まっていると考えればしっくりくる。表面からはどこにどんな神経や血管が走っているかよく見えない。工事をするときは、地面に埋まっている水道管やガス管、電線などの走行を立体的に把握しておく必要がある。

わかっていないと不必要にシャベルで掘り返して、重要な電線を切ってしまうかもしれない。手術なら重要な血管や神経や尿管を切る。しかし血管や神経の走行は個人差も大きく、なかなか熟達するのは大変だ。でもこれができない医師は、手術を執刀するレベルに達していないと判断される。

 

教科書での知識は重要だが、それを実際の臨床で使うことができるレベルまで引き上げておく必要がある。

 

 

 3.経済全体の動きや投資家の感情・行動に詳しい

ここで投資の話に戻る。

 

株式投資をするのなら、社会全体・経済全体の動きを把握しておく方が有利だろう。

イギリスがEUを脱退した、金利が上がった下がった、アメリカと中国との貿易交渉が進んだ、それについてトランプ大統領Twitterでなにかつぶやいた、北朝鮮がミサイルと飛ばした。

 

そういった事で株価は上がったり下がったりする。

投資している企業とは全く関係ないニュースで株価が下がる。これはとても不愉快なことだ。国内のみで展開している学習塾の業績が米中の貿易交渉と何の関係があるのだ?そんなことで持ち株の株価が下がるのは理不尽甚だしい。だれかトランプのtwitterアカウントを凍結しろ。なんなら乗っ取ってしまえ。

そんな風に思えてくる。

 

しかし現実はそういう風にできている。望む望まないに関わらず、トランプのtwitterは株価に影響する。変えられない現実は受け入れるしかない。

世界の流れを読んで先回りして投資をするのはそれほど勧めない。半年後の未来なんてなかなか予測ができない。

 

ならば株価変動の理由が後から理解できるだけで十分じゃないだろうか。

「あー、北朝鮮の核実験で日経平均がだだ下がりだ。だから俺の株も下がっているんだな」と。

所持している企業になにか不祥事が起こった?とか、次の決算の悪い数字が漏れていてインサイダーが売ってる?とか不安にならずに済む。

 

 

 短期的な社会の流れは読みにくいが、長期的には読みやすいこともある。

「長期の方が読みやすい?逆じゃない?来週のことがわからないのに10年後の事がわかるの?」

という疑問を持つ方もいるかもしれない。

 

 明日が暖かいか寒いかはわからないけど、10月頃に2か月後の気温が今より高いか低いかは予想がつくだろう。

短期的な世の中の動きは読みにくいのだけど、5年後10年後の未来はある程度予想がつく。社会の動きを読むなら長期目線の方がやりやすいんだ。

 

 

あとは投資家の心理について。

これは様々な研究がされていて、本も沢山出ている。

 少しずつ読んで勉強していくといい。

 

 

4.まとめ

「世の中の動きや投資家の感情・行動に詳しい」などと、とんでもなく大きな範囲の話をし始めたことに気が付いた。投資家の感情と行動だけでも何十本もの記事が書けるだろう。なんてことを書き始めたんだろうと、途中からうんざりしてしまった。

 

結局手術も投資もたくさん勉強してたくさん実践しろ、という結論になった。

努力せずにお金を稼ぐ方法なんて存在しない。

努力なしで手術が上手くなる方法もない。

がんばれ。

 

ちょっと投げやりな感じを受けるかもしれないが、がんばれ。

 

 

 

投資家の感情を理解するための学問として「行動経済学」というものがあります。行動経済学の最初の一冊としてお勧めします。そんなに難しくないです。