ウィザスを買った理由
1.明日が決算
私のポートフォリオにウィザスという企業の株がある。
ウィザスは明日が決算だ。決算とは企業の成績表の発表だ。みんなが思っているより良い成績だったら株価は上がるだろう。悪い成績だったら株価は下がる。
株主なら、決算発表はたいへんドキドキするイベントだ。次の日の自分の資産価値が激しく増減するんだ。ドキドキしないほうがおかしい。このドキドキはたまらない。
決算で、予想通りの数字が出てこないかもしれない。
でも、なぜその株を買ったのか、どういう所を注目しているのか、などを明確にしておくことは重要だ。決算後の株価に振り回されないために。
それが明確になっていないと、ちょっと下がったくらいで不安になって売ってしまう。あるいはちょっと上がった所で喜んで売ってしまう。
その後の株価が3倍になった時、くやしくて机をかじるような事になるんだ。
そうならないために、ウィザスを買った理由をここに書くことにした。
2.ウィザスは高校・キャリア支援事業に注目
ウィザスが行っている事業は大きく3つに分けられる。学習塾事業と、高校・キャリア支援事業と、その他の事業だ。
2018年3月の、それぞれの事業の売上高と利益の割合は次の通り。
売上高は、学習塾 51%、高校・キャリア支援 32%、その他 17%。
利益は、学習塾 48%、高校・キャリア支援 41%、その他 11%、となっている。
それぞれの事業の、5年間の売上と利益の推移をみてこう。マネックス証券の「銘柄スカウター」というサービスで見ることができるグラフだ。
まずは売上の推移。
そして利益の推移。
見ての通り、学習塾の売上は横ばいだ。利益についてはやや減少している。
その他事業はすこしずつ上昇しているが、まだまだ全体の割合から見ると少ない。
力強く上昇しているのは「高校・キャリア支援事業」だということがわかる。
この「高校・キャリア支援事業」とは何なのか?
高校・キャリア支援事業には、「高校事業」と「日本語教育サービス事業」に分かれている。日本語教育サービス事業とは、日本に留学に来ている外国人を対象にした日本語学校だ。こっちの売上や利益の割合は少ないようなので無視する。
大事なのは「高校事業」だ。ウィザスは「第一学院高等学校」という高校を経営している。第一学院高等学校は、通信制の高校だ。
一般的に「高校」というと全日制の高校をイメージするだろう。月曜日から金曜日まで、朝の8時半に登校して6時間ほど授業を受ける。それが全日制高校だ。
しかし第一学院高等学校は通信制の高校だ。Webで授業を聞いて、レポートを提出し、テストを受けて単位を取っていく。そして時々通学する。そんな風に高校を卒業するのが通信制高校なんだ。
ウィザスは、この通信制高校が上手くいって、業績を伸ばしている。
3.上方修正前後の数字
ウィザスは2019年2月8日に上方修正を行っている。修正前後で、会社が出した今季予想を比較してみる。
まず修正前(中間決算での説明会資料より)
そして修正後(第三四半期での説明会資料より)
並べてみてみると、学習塾事業とその他事業はいずれも売上高も利益も減っている。しかし高校・キャリア支援事業についてはすごく増えている。
その内訳もすごい。高校・キャリア支援事業の、売上が752百万円の伸びに対し、営業利益が631百万円も伸びている。売上増加分の83.9%が利益になっているわけだ。
会社が発表した上方修正の理由は、
・高校・キャリア支援事業の生徒募集が好調に推移した。
・ICTを活用した高付加価値サービス導入で顧客単価が上昇した。
という事らしい。
学校というのは、生徒が30人でも40人でもあんまりコストは変わらない。先生は一人だし、教材もコピーすればいいだけだ。もちろん教室も1つで十分だ。Webで事業をやるならますます生徒数増加によるコストは上がらないだろう。
つまり、第一学院高等学校の生徒数が増えて、コストはあまり増えず、利益だけが増えたんだ。
で、更に生徒数が増えても同じように利益が増えるはずだ。
これは「固定費と変動費」という言葉で解説できる。中学生の読者さんは、また別の機会に詳しく書くので今は流して下さい。
4.来季の数字を勝手に予想する
高校・キャリア支援の売上と利益をグラフにするとこうなる。
それがそのまま進むとこうなってもおかしくない、よね?
このグラフ通りになると、高校・キャリア支援事業の利益が5億円アップする。
2019年度の営業利益が全社で17億円と見込まれているから、2020年度は5億円アップして22億円になる。年間41.7%の上昇だ・・・。
そうなれば現在PER 9.6で放置されている株価も見直されるんじゃないか?
42%の利益上昇に、PER18倍までの見直しを考慮すると、5月13日現在の430円の株価は1,264円まで買われる事になる。おお、すごいじゃないか。
・・・そこまで超絶にうまくいくとは思っていないけど。
5.妄想の根拠
高校・キャリア支援事業の数字は「第一学院高等学校の生徒数」によって決まると考えていいだろう。
決算書を見ると、2017年 5392人、2018年 5625人、と増えている。
2019年の数字はまだ出されていないが、売上額の上方修正があったくらいなんだから増えているんだろう。2019年は6250人くらいかと予想している。
そして高校は少なくとも3年生まである。
通信制高校だから、転入生も多いと思う。でも、転入生も3年生より1年生が多いはずだ。
ちょっと違うが、高校を退学する学年は1年生が多い。
高校中退率は?何年生で中退する人が多い? | 四谷学院高認コース(高等学校卒業程度認定試験対策)_公式ブログ
2年間高校に通って、その環境に慣れた高校生は3年目ではあんまり中退しない。
だから第一学院高等学校の転入生も、1年生が多いと予想している。そう考えると、ある程度のストック性を持つと思っても良さそうだ。来年度の生徒数が急に減るとは考えにくい。
むしろ社会全体の価値観の変化もあるし、生徒数が増える可能性の方がずっと高いと考えている。
来季の数字が良いことを妄想してもいいじゃないか。
あと、このような大変参考になるブログもあるので読んで下さい。
6.リスクもある
2019年2月8日に発表された上方修正では、さりげなく学習塾事業とその他事業の下方修正が混入されている。そこまで足を引っ張らないと信じているが・・。
ほかにもリスクはいろいろ考えているけど、書くのが面倒なのでもう書きません。
でも、下手な数字を出されても株価下落は380円程度で落ち着くのではないか?現在でも配当利回り3.72%もあるし。株価下落は限定的じゃないかな。
そんな事を考えて、ウィザスの株主をやっています。
後は祈るだけです。