中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

マークラインズ・・・有料会員数の増加を追えば会社の成長が理解できる

 

スノーブラシを使う人のイラスト

マークラインズの中核事業は、自動車産業情報のポータルサイトを運営しその有料会員から使用料を受け取る事だ。 

 

この情報ポータルサイトの月額使用料に加え、自動車産業に特化した人材紹介事業やコンサルティング事業、市場予測情報販売やバナー広告なども行っている。こっちがサブの事業だ。

それぞれの数字を順番に見ていきたい。

 

1.直近4年の四半期ごとの売上と営業利益

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これは2015年からの四半期ごとの売上額のグラフだ。縦軸の数字の単位は百万円。相変わらずエクセルで作った手作り感満載のグラフだが、私が自分の理解のためだけに作った資料の転載なので許してほしい。

 

青が中核事業である有料会員からの使用料の合計、赤はそれ以外全ての売上の合計だ。

青の部分は、有料会員の増加に伴って売上がきれいに上昇している。会員数の伸びがそのまま売上の伸びにつながる、典型的なストックビジネスの売上グラフになっている。

 

一方赤の部分はやや変動が目立つ。なぜなら人材紹介やコンサルティングストックビジネスではない。仕事の依頼が来ない限り売上は上がらない。

 

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次は営業利益のグラフだ。縦軸の単位はやっぱり百万円。利益が「情報ポータルサイト」と「その他」に分けて発表された2016年からのグラフになるので、売上のグラフより期間が短くなっている。

 四半期ごとの経費はややばらつくので、利益の方は売上ほど安定していない。

会社の事業が安定して伸びているマークラインズですら、利益はこのように変動することは覚えておくといいだろう。

 

利益は決算の「見た目」だ。長期投資家なら見た目に振り回されず、企業の本質に注目していきたい。本質の伸びている企業が「見た目」の悪い決算を出したとき、これは株が安く買える時だ。ありがたく買わせてもらうといい。

 

 

2.マークラインズの成長の本質は有料会員の増加だ

 マークラインズの場合、有料会員数が伸びは会社の成長そのものだ。ちょっと難しい言葉を使うと「マークラインズのKPIは有料会員数だ」と表現できる。

KPIとはkey performance indicator の略だ。日本語で噛み砕いて言うと、「会社の業績をもっとも正しく表す鍵となる数字」という意味になる。

マークラインズの有料会員数が伸びていれば、間違いなく売上も利益も伸びる。という訳で、2015年1月からの月毎の有料会員数をグラフにしてみた。

 

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見ての通り、ほぼ直線的に伸びている。

 

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2015年からの月毎の有料会員増加数をグラフにしてみた。

4年3ヶ月間の有料会員数のグラフはほぼ直線に見えたが、月毎にかなり増加数が変動している。10月や12月の増加が少ない、という季節性もあるようだ。

 

こうやって見ると、2018年の7月頃から会員数の伸びが良くなっているように感じる。例年増加数が少ない10月や12月も、2018年はそれほど谷をつくらずに順調に伸びている。その流れは2019年の3月まで続いているように見える。

 

会社説明会資料などを読むと、最近営業の戦略を変えた事がわかる。

これまで地方都市を地味に営業してきたが、あんまり新規会員は獲得出来なかった。これからは関東や愛知県を中心とする、自動車産業が活発な地域に重点的に営業をかけることにしたと。

トヨタのお膝元であり、多数の関連企業がひしめく愛知県に新しく支社を置いたのもその一環だろう。そういった取り組みが有料会員数の増加につながっているのならとても嬉しい。

 

また無料会員登録数を増やすために、google等の検索エンジンに引っかかりやすいようにポータルサイトを改造したとのこと。これも効果があったのかもしれない。

 

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そんなわけで、マークラインズの成長はまだ続くと期待している。

 

 

3.成長率を維持するのは後になるほど大変になる

マークラインズの有料会員数は直線的に伸びている。しかし、直線的に伸びるだけではちょっと心もとない。

 

お小遣い1万円が2万円になるのは嬉しい。倍に増えるわけだから。

しかし100万円のお小遣いが101万円になるのは、そんなに感激しない。もしかすると気付かない程度かもしれない。同じ1万円のアップなのに、こっちはたったの1%しか増えていないのだから。

 

同じように毎年有料会員が300社増えていても、もとの会員数が300社のときと30,000社のときでは、全然増加率が変わるのだ。

 

直線的に伸びるというのはそういう事だ。会社が大きくなればなるほど、直線的に伸びてもやがて気付かない程度にまで成長率が下がる事になる。これはもう成長企業とは呼べなくなる。

 

今後もマークラインズは有料会員の増加に力を入れていくだろう。それが会社の成長にとって基本となる戦略だ。

ただし年々ハードルは高くなる。

株主としては是非とも頑張ってほしい。

 

そしてサブの事業についても頑張らなくてはいけない。それについては次回に。

 

 

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