中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

ビジネスモデル⑥ 「プラットフォームビジネス」とは?前世紀の砂漠の街でその原型を見た。

砂漠の民のイラスト

 

プラットフォームビジネス、と聞いて駅のキオスクを想像した方。

よくこのブログにたどり着いてくれました。

あなたのためにこのブログは書かれています。これからも末永くお付き合い下さい。ほんと、訪問者が少なくて困っているんです。

 

 

1.199X年の砂漠の街で

大学2年生だった時の夏休み、私はパキスタン行きの片道航空券を手に入れた。

 

イスラムのテロ組織と戦うためではない。「深夜特急」という名作紀行文を読んで、シルクロードを旅行してみたくなったのだ。学生の夏休みなので、期間は40日間しかない。本当は日本からローマまで行ってみたかったんだけど、まずは40日で半分を踏破してみようと思った。

パキスタンイスラマバードに飛んで、そこから北を目指した。標高4,700mのフンジュラーブ峠を超えて、中国の国内に入った。中国の最西端の街、カシュガルからバスで砂漠を越え、ウルムチまで進んだ。そこからは鉄道に乗り換えて上海に。最後は東シナ海をフェリーで渡り、神戸にたどり着いた。

予定より5日間ほど遅刻して大学にもどった。旅行中は様々な困難が起こって大変楽しかった。その話を書き出すと止まらないのだが、書かない。

おじさんの過去の武勇伝ほどツマラナイものはない。もう四半世紀前の話だし、情報としても古すぎて使えないし。

 

 

このブログは投資ブログで、今はビジネスモデルの話をしている。

 

当時、私以外にもシルクロードを旅する旅行者は大勢いた。世界各国の「バックパッカー」と呼ばれる貧乏旅行者たちが、中国の砂漠の街をうろついていた。

当時、中国はまだまだ自由化が進んでおらず、外国人が泊まれるホテルはそれぞれの街に数軒しかなかった。外国人は指定されたホテル以外、宿泊できなかった。

必然的に、外国人が集まる場所は限られてくる。そのような場所には、外国人向けのカフェが何軒か出来ていた。

 

わざわざ中国に旅行に来て、どうして外国人向けの店に行く必要があるんだ!

そう思ってしまうが、やはり旅行者同士の情報交換は必要だった。スマホはおろか、インターネットすら普及していなかった時代だ。Yahoo Japanがサービスを開始したのが1996年だが、私が中国をさまよっていたのはそれより昔だ。旅行者同士の情報のやりとりは、アナログで行われていた。

具体的には、口コミと「掲示板」だ。

 

掲示板といってもネット上の掲示板じゃない。手書きで書いたメモを貼り付けてみんなに読んでもらう掲示板だ。

旅行者が見る掲示板は、外国人向けのカフェの店内にあった。

 

壁いっぱいに、画鋲でメモが貼り付けてある。

「メンバー募集:一緒にクルマをチャーターして〇〇遺跡に行きませんか?」

地球の歩き方インド編、売ります」

「旅行者の〇〇さんを探しています。情報をお持ちの方、教えて下さい」

そんなメッセージが各国の言葉で書かれていた。見てるだけでも面白かった。

 

メッセージを掲示するのも読むのも自由。ただし、そのカフェに入って何かを注文しなくてはいけない。情報をやりとりするため、旅行者は誰もがそのカフェに入った。

出されるものは決して美味しくない。安くもない。でも外国人旅行者は皆、そのカフェを利用していた。掲示板を見るために。

 

掲示板はそのカフェにしかない。他のカフェが掲示板を作っても、そこにメッセージが掲示されることは少ない。

誰もが使う掲示板だからこそ、そこにメッセージを掲示する意味がある。たくさんの情報が、さらなる情報を集める。一度流れをつかんだ掲示板のみが、今後もメッセージを集め、人を集め続ける。

最初にその掲示板を作ったカフェは、美味しくもないものをそれなりの値段で売り続けることができる。なぜなら、外国人旅行者がみんなその掲示板を見に来るからだ。そのカフェは、そのようなしくみを作ったのだ。

このように「しくみ」を作って稼ぐビジネスモデルを「プラットフォームビジネス」という。

 

 

2.プラットフォームビジネスとは?

プラットフォームとは「土台」という意味だ。駅のプラットフォームは電車に乗るための土台だが、ビジネスモデルとしてのプラットフォームはビジネスをするための土台だ。

メルカリが具体的な例だ。

メルカリを使えば自分の持っているものを出品し、出品されているものを買うことができる。メルカリは商品を仕入れることも販売することもない。ただ、個人個人の商品取引を仲介しているだけだ。メルカリは個人の商品取引のプラットフォーム(しくみ)を提供することで、利用者から手数料を受け取る。

 

プラットフォームビジネスの本質は、「しくみ」を提供する事だ。

 はじめに挙げた掲示板をつくった中国のカフェは、「掲示板という情報交換のしくみ」を作っただけだ。情報は仕入れる必要がない。情報は利用者が勝手に持って来てくれるのだ。

メルカリも商品を用意する必要がない。商品は利用者が「勝手に」用意してくれる。安くて良い商品が出品されれば、ちゃんと買ってくれる人が出てくる。売る人と買う人が揃えば、あとは手数料をいただくだけだ。

掲示板をつくったカフェも、何もしなくていい。掲示板の使用料を取る必要すらない。客は掲示板を目当てに来てくれる。カフェはコーヒーやら紅茶やらを、それなりの値段で出せばいいだけなんだ。

 

 

3.プラットフォームの独占

旅行者にとっては、掲示板は1つでいい。掲示板がいくつもあって、欲しい情報を得るために何カ所もカフェをハシゴするのは効率が悪い。

情報は1つの掲示板に集まり、それ以外の掲示板に人が寄り付くことはない。結果として、プラットフォームの独占が成立する。シルクロードの街にあるカフェは、外国人旅行者の情報交換プラットフォームを独占していた。その結果、安定した稼ぎを得ていた。

 

メルカリはどうだろうか?

メルカリにはライバルがいる。Amazonでも個人が中古品を売る事ができるし、ヤフオクと呼ばれるYahoo オークションもある。楽天が出しているフリマアプリ「ラクマ」もある。

 

それぞれ使いやすさとか特徴があって棲み分けができている。それでもメルカリの取扱高は2018年4月の情報で3,180億円。ヤフオクの取扱高9,426億円と比較すると三分の一でしかない。上場するメルカリの規模はまだヤフオク!の3分の1 | buyTech

 

 

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このグラフのように、メルカリが新しく登場しても、ヤフオクの取扱高は一貫して伸び続けている。

メルカリはプラットフォームビジネスで伸びてきているが、まだまだ覇者とは言い難い。ましてや独占しているとは決して言えない。

メルカリが覇者となったとき、その稼ぎは異次元の上昇を認めるだろう。そうなれば株価は天井知らずだ。

 

 

4.まとめ

プラットフォームビジネスは本当に奥が深くて、これだけで何冊も本が出ているくらいだ。他にもたくさんの例があるんだけど長くなったので、本日は触りだけで終わります。

今後、私の持ち株を中心にプラットフォームビジネスを展開している企業の具体例について書いていきたいと思っています。

 

今回のまとめ:

・プラットフォームビジネスは、流れが出来てしまえば利益がでやすい。

・プラットフォームを独占してしまえば、もう無敵。

・プラットフォームを独占する前に、株を買っておきたい。

 

 

 

 ビジネスモデルの話は一旦終了です。

地味な記事にお付き合いいただきありがとうございます。

 

↓ この本、タイトルは固いですが本当に読みやすいです。ビジネスモデルを生んだ人たちのドラマを中心に、様々なビジネスモデルが解説されています。

ジレットモデルのジレットさんとかも登場していて、感動できます。私は2回読みました。

 

 

 ↓ 私を含めた多くの若者を旅に誘ったこの本。いつ読んでも放浪の旅に出たくなります。