中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

初心者にバフェット流の投資を勧めない理由 その2

初心者マークをつけて運転する人のイラスト

投資家として最も成功したウォーレン・バフェット。その投資方法は実にシンプルだが、初心者が真似しようとしても上手くいかない。初心者にはバフェット流の投資法を勧めない。

 

そんな話(↓)の続き。


nigatsudo.hateblo.jp

 

バフェット流の投資方法を勧めない3つ目以降の理由を書いてみる。

 

3.損切りしない理由にしてしまう

損切りとは、持ち株の株価が下がった時に、これ以上損を拡大させないために株を売ってしまう事だ。

バフェット流の投資とは、「すごくいい会社の株を安く買っていつまでも持ち続ける」というものだ。だから基本的に損切りはしない。たとえ株価が暴落しても、会社が十分な利益を上げ続けているのであれば、それは売る理由にはならない。むしろ買うチャンスが到来したと判断する。

 

初心者の投資家が、バフェットのマネをするとどうなるか。

自分が選んで買った株には、どうしても愛着が生まれる。自分が買った位なのだから、この会社は「すごくいい会社」に違いないと考えてしまう。

しかし、株価は下がる。なぜなら初心者はバフェットではない。初心者が選んだ会社が、どんな世の中になっても利益を安定してあげる事ができる「すごくいい会社」である可能性は低い。

バフェットの影響力が強すぎるので、損切りはしない。すごくいい会社なんだから、いつか上昇すると信じる。株価はズルズルと下がる。売って、損を確定させるのがますます怖くなる。それどころか、もう株価なんてどうでも良くなる。いずれ上がるのだから、と何週間も株価を見なくなる。

しかし実際は環境が変わっていて、その企業はもう昔のような利益を上げる事が出来ないようになっている。だから株価は一向に上昇しない。失敗したことは本人も薄々気付いている。でも今更損切りする気にもなれない。もはや「バフェット流」というのが損切りしない理由になってしまっている。損切りしないからますます損が拡大する。

 

私も昔、フェイスという株でこれをやった。5万円あたりで買った株を、12,000円まで損切りせずに放置した。手ひどいダメージを受けて、1年ほど退場したような状態に落ち込んだ。あきらめて売った時が、復活のきっかけになった。

塩漬けされた株は、損切りによってのみ復活する。このお事実はバフェットからは学べない。売らないのがバフェット流なのだから。

 

バフェットが買った株を売らないのは、それだけ企業を見る目があるからだ。初心者にそれは難しいだろうし、私にも無理だ。

 

 

4.経験値が蓄積しない

 バフェットは基本的に買った株を売らない。理想的な投資期間は「永遠」だ、と自ら語っている。買った後はずっと持っているので、その投資方法は「Buy and hold」とも呼ばれる。

バフェットは常に新しい投資先を探している。投資している会社がどんどん利益を上げるので、手元には現金が常にあるからだ。

一方、ほとんどの個人投資家の資金は限られている。買った株を売らない限り、新しく株を買う資金はなかなか手に入らない。Buy and holdを続けていれば、株を売買する機会がほとんどなくなってしまう。

株を売買しなければ、税金も売買手数料も払わなくていいのでありがたい。しかし、売買して身につく経験は得る事ができない。新しく株を買うためのお金がないのだから、新しく別の企業を探す気もなくなってしまう。

 

経験値も蓄積せず、企業分析もしなくなれば、初心者はいつまで経っても初心者だ。やはり多少は売買した方が、株式投資は上手くなるだろう。それは短期の投資だけでなく、長期投資家にも言える事だ。

 

 

 5.米国と日本の平均株価の推移の違い

 下のチャートは1980年からの米国のダウ平均株価の推移である。

 

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大きな凸凹はあるが、長い目で見ればずっと右肩上がりだ。リーマンショックの時は資本主義世界の終わりだと騒がれたが、現在はその影すら残っていない。

もちろんインフレ率その他いろいろな事を考慮しなくてはいけないが、アメリカ株に長期で投資しておけばとりあえず儲かりそうだ。

 

一方、日経平均株価の推移は下の通りだ。

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このところアベノミクスで上昇しているとは言え、バブルの頃の高値である4万円には全く届く気配がない。

 

もっとも、日経平均はしょっちゅう目盛りの幅が変わる歪んだモノサシだ。実際、東証1部すべての銘柄の時価総額の合計はバブル期を超えている。だから上のチャートほどは日本の株価の推移はひどく無い。


それでもダウ平均株価の推移と比較すると、日本株の過去30年間はバフェット流の長期投資にはあまり向ような環境だったと思う。

 

 

6.まとめ

2回に分けて書いたが、初心者にバフェット流の投資を勧めない理由はそんなところだ。

勧めないからと言って、バフェットを否定するつもりは全くない。むしろバフェットの流儀を学ぶ事は、長期投資家にとって必須だとすら思う。

 

ただ、バフェット流は簡単に真似できるほど浅くない。初心者が初心者のままでバフェットになれる訳がないんだ。だからこそ勉強が必要なんです。

 

 

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