中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

初心者にデイトレードを勧めない4つの理由

カマキリのイラスト

 前回、株式投資には様々な流派があるという話を書いた。

初心者がどのような流派に入門し、どのような投資家を目指すか。それを決めるためにも、様々な流派の教えをある程度知っておく必要がある。そのために今後少しずつ各流派の特徴を書いていく事にした。

 

極端なスタイルから書いたほうが分かりやすいと思う。だから第一回目の今日は、デイトレードという戦略について書く。

 

前回も少し書いたが、デイトレードとは1日で全ての取引を終了してしまう投資方法だ。その日に買った株は、その日に売ってしまう。日本の株式市場は朝9時に開き、午後3時に終了する。この間、昼休みの1時間を除いた5時間で、株を売ったり買ったりする。このデイトレードについて、利点と欠点について考えてみよう。

 

 デイトレードの利点 

1.デイトレードは夜間に重大事件が起きても巻き込まれない。

例えば日本の市場が閉まっている夜のうちに、ヨーロッパやアメリカで大事件が起こるかもしれない。大統領選の結果が出たり、テロや戦争が起こるかも知れない。

例えば、現代史の転換点の1つとなったアメリカでの同時多発テロ。この事件は2001年9月11日、日本時間の午後9時45分に起こった。翌日、9月12日の日本の株式市場は大暴落で開始した。ほとんどの銘柄がストップ安。世界の行く末が見えないという不安のため、誰もが株を売りたがった。

デイトレードなら、このようなリスクを回避できる。夜間は株を何も持っていないのだから。それが何よりの利点だ。

 

2.下降相場でも利益が出る

現在のように、株価が下がりつつある下降相場でも利益が出やすい。長期的に下がっていても株価が上がる日もあるし、下がり続けるなら売りで儲ければいい。長期での買いしかやらない長期投資家にとって、最近の下降相場はなかなか厳しいものがあるが、デイトレードなら何も問題ない。

 

3.毎日結果が出るので刺激的

デイトレードは毎日結果が出る。今日は◯◯万円儲かった、今日は◯◯万円負けた。その場その場で結果が出るのでとても刺激的だ。デイトレードに限らず短期トレードをする人は、長期投資がかったるくて仕方がないという。そんなにのんびりしたスピードでやっていても、お金持ちになる前にジジイになってしまう。そういう風に考える。

確かに、やってて楽しい!というのはとても重要な要素だ。楽しくないことはなかなか頑張れない。 

 

デイトレードの欠点

1.平日の昼間にパソコンの前に座っている時間なんてない

日本の株式市場が開いているのは、平日の朝9時から午後3時までだ。もし日本株デイトレードをやるのであれば、その時間ずっとパソコンの前に座って取引をしなくてはいけない。この時間は、ほとんどの人が学校か職場に行っている。仕事も学校も行かずにデイトレードをするという方法もあるが、もちろんオススメしない。

あるいは休み時間に職場や学校のトイレに行き、スマホで株の売買をすることも出来る。しかしこれはもっとオススメしない。そんな事をして仕事や勉強がおろそかにならない訳がないし、それで勝てるほど株式投資は甘くない。

 

2.ファンダメンタルが通用しない

このブログでも少しずつ会社の数字の見方について書いている。会社の数字についての記事は全然人気がないのでやや滞っているが、今後も書くつもりだ。会社の数字を読み、今後の会社の価値を推定する方法について知るためだ。

しかし、デイトレードでは会社の数字は役に立たない。会社の数字を分析して投資する方法を「ファンダメンタル」と呼ぶが、これはもっと長期の投資に向く方法だ。なぜなら、ファンダメンタルとは「会社の将来の価値」を推定して投資する方法だ。1日の数時間では、会社の価値は変化しない。

よって、デイトレードではひたすらチャート分析で売買する。チャート分析とは、株価の変動を表したグラフを読みながら株価が上がるか下がるか判断する方法だ。私にはそんな事は出来ない。

もっともデイトレーダーに言わせれば、会社を調べたりするのは面倒だから、ファンダメンタル分析をしないで済むのは長所らしいが。

 

3.完全なゼロサムゲームである

長期的に見て成長する会社は、その株価が上昇していく。成長する会社の株を買っておけば、多少タイミングが悪くても儲かる可能性が高くなる。

会社が成長すると言っても1日では成長しない。デイトレードではその1日で取引が終了する訳だから、タイミングが悪ければそれはそのまま損に繋がる。誰かが勝てば、必ず誰かが負けている。デイトレードは、同じ大きさのパイを奪い合うゲームだ。全員の勝ち負けを合計するとゼロになる。こういうゲームを「ゼロサムゲーム」という。

成長する会社に長期で投資するということは、大きくなっていくパイを獲得するゲームだ。誰かが儲かっても、誰も損をしていない可能性もある。全員の勝ち負けを合計するとプラスになる。こういうゲームを「プラスサムゲーム」という。

ゼロサムゲームとプラスサムゲーム。どっちが勝てる可能性が高いか、考えれば分かるだろう。

 

4.世界中の巨人と戦う事になる

 デイトレードは、売りたい時に売って買いたい時に買える事が絶対に必要だ。売る人も買う人もそんなに多くない、マイナーな会社の株ではデイトレードが成り立たない。必然的に有名で大きな会社の株でやることになる。

このような株は、全世界の、数百億~数千億円の資金を運用する機関投資家が売買に参加してくる。会計や数学の専門家を含むスタッフを抱え、巨大な演算能力を持つコンピュータを備えた数千億円の資本と戦うことになる。普通の個人が、スマホやパソコン程度の道具を使って勝てるだろうか?

 

 

そんな訳で、初心者にデイトレードは勧めない。

もちろん個人でも勝ちまくっているデイトレーダーはいる。だけど私の周りには居ない。デイトレードで勝てるのは一握り、後は退場候補者だろう。

 

勝ちたいのなら、勝つ可能性の高い戦略を選ぶべきだと思う。