不労所得を否定する人たち
「お金は汗水垂らして稼ぐものであり、株で儲けるのは正しくない」
今でも時々このように考える人がいる。昔はこのように考える人が更にいっぱいいた。だから私が株を始めた15年前は、株をやっていることなど誰にも話せなかった。多くの人が「正しくない」と考えている事をわざわざカミングアウトして、余計なトラブルを招きたくない。議論するのも説得するのも面倒だ。そもそも正しいか正しくないか、などという答えが無いことについて話しても仕方がない。自分が正しいと思っている人とはなかなか会話が成り立たないし。
投資をやっている人はカミングアウトをしてこない。もともと少ない投資家が、お互いに自分の正体を隠している。だから誰が投資をしているかなんて、誰も知らない。私も、投資について誰かと話したことなどなかった。投資家は皆、孤独だった。今はブログやらTwitterやら何やらで、いくらでも他の投資家とつながることが出来る。世の中変わった。
などと年寄り臭い感想を書いてみた。
しかし株式投資を否定する人も貯金をして利子を受け取っている。ほんの少しのお金だが、汗水垂らさなくても貰えるお金だ。それも否定するのだろうか。
お金を払って将来それ以上のお金を受け取る制度は、株と貯金以外にもいろいろある。例えば生命保険だ。「助け合いの制度」とか「安心を買うもの」など、いろいろな呼び方があるが、保険業は完全に金融業だ。お金を集め、それを投資して運用し、その一部を不幸のあった顧客に戻している。保険に加入している人は、間接的に株式投資をしているわけだ。株式投資を否定する人には何度も会ったが、生命保険を否定している人に出会ったことはない。
そもそも日本人なら誰でも年金制度に加入している。年金に払った金は、企業に投資されている。お金を預けただけで勝手に増える訳じゃない。預けたお金が投資されて、増えて戻ってくるのだ。
自分が手を下さないだけで、間接的に投資はしている。牛がどうしても可愛そうなら牛肉を食べてはいけない。牛の屠殺をだれかにやらせといて、自分は手を下してないからいいんだとステーキを食べるのは偽善だ。ビーフステーキを食べることは、間接的に牛を殺している事だ。
貯金や年金と株式投資関係もそれと同じだ。
日本で年金にも貯金にも関わる事無く社会生活を送るのは難しい。それだけ株式投資は社会に根付いているという事だ。諦めて自分から進んで株式投資をしよう。
いったい株式投資をしている人はどのくらいいるんだろう。調べてみたところ、日本証券業協会という団体がH27年に調査した結果があった。
H27年の7000人を対象にした調査で、株式投資を行っているのは13%だった。思ったより多いか?
預貯金が91.9%というのは当然かもしれないが、「いずれも持っていない」人が7.6%いのもちょっと気になる。宵越しのお金は持たない主義の江戸っ子が7.6%もいるとも思えないし。それとも、不労所得を否定するあまり断固として利子の受け取りを拒否しているのだろうか?
そんな訳はない。貧乏なんだ。
そうなる前に、経済を勉強して株を始めよう。