中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

アズームを買った理由① 駐車場のサブリース

駐車場のイラスト

1.アズームを買った。もっと買いたかった。

アズームという企業はtwitterで知った。

大数アルファさん、という方がつぶやいていたので自分でも調べてみた。調べた結果、ものすごく有利な投資物件になるだろうという確信を持った。

アズーム株の購入はスムーズには行かなかった。時価総額が25億円くらいしかない超小型株であり、板がスカスカ。出来高もほとんどない。泡沫投資家の私が買っていくだけでも株価があがってしまう。仕方がないので1日100株、200株という単位で買い進めた。

 

アズームの株価は4月30日の2Q発表で跳ね上がった。

株価の上昇はありがたいのだけど、もっと買う予定だった。上げていく株価に負けじと追撃買いをしたが、ほとんど押し目がなくて困った。

分析記事を書かなかったのは、株価が下がるのを願っていたから。でも自分のブログなど株価には何の影響もない事は知っている。

だから書くことにした。

 

 

2.アズームのビジネスモデル

アズームのコアとなるビジネスは、駐車場のサブリースだ。

駐車場をオーナーから一括して借り上げて、それを利用者に又貸しする。1か月1万円で駐車場を借りてそれを利用者に2万円で貸せば、1万円儲かる。単純に言えばそれだけだ。

 

これだけ聞いても全く儲かるようには見えない。なぜ2万円で貸せる駐車場を1万円で借りることができるのか。オーナーが直接利用者に直接貸せば丸々2万円儲かるのに。

今回はそんなビジネスが成立する理由を書く。

 

 

3.アズームに駐車場を貸す人

マンションや大規模商業施設を建設するときは、駐車場を設置する義務がある。これは駐車場法や大規模小売店舗法などの法律で定められている。

しかしマンションに入居する人がすべて車を所有している訳ではない。入居者が車を持っていない場合、義務によって設置された駐車場は空いてしまう事になる。入居者が駐車場を借りてくれれば使用料が得られるが、空きのままだと何のお金も生まず固定資産税だけがとられていく。

 

そこにアズームがやってきて「月1万円でなら借ります」と言われたらどうだろう。空いたままにしておくよりずっといい。自分で借り手を見つける事ができないなら、相場より安くても貸すだろう。

法律で設置が義務化されている駐車場は必ず余りがでる。アズームはその余った駐車場を借り上げる。

 

 

3.駐車場を借りる人を見つけて、貸す

そうやって借り上げた駐車場を、利用者へ月極で貸す。

月極駐車場という商品は、その立地が価値のすべてだ。車を停めてそこから目的地まで1㎞歩くのを良しとする利用者は少ないだろう。目的地から1㎞も離れれば、利用者にとって価値は激減する。そして目的地は1人ずつ違う。

ひとりひとり違う駐車場への需要と、借り上げた「余ってる駐車場」をマッチングさせる。それがアズームの生み出す付加価値だ。

 

駐車場を借りたい人が見つからなかった場合、アズームにはお金が入らない。しかし駐車場のオーナーには借り賃を払わなくてはならない。その状態が続けばどんどん赤字がかさむ。

そうならないために、需要がありそうな場所の駐車場のみ借り上げる。更にweb上で駐車場検索サイトを運営して集客する。

 

このあたりをどのようにやっているかを、次回書きます。

 

 

 筋トレする方で牛乳が嫌いでなければお勧めします。プロテイン作るより楽です。

IPSとフィリピンのカントリーリスク②・・ドゥテルテ大統領

マンゴーのイラスト(フルーツ)

1.ドゥテルテ大統領の経歴が濃い

フィリピンの事を知るためには、フィリピンの政治を執り行っている大統領について知る必要がある。

 

フィリピンのドゥテルテ大統領はものすごくキャラが立っている。タイの首相は知らなくてもフィリピンの大統領は知っているという方も多いだろう。

ドゥテルテ大統領の経歴は、以下のように香ばしいエピソードに満ちている。

 

・フィリピンのレイテ島に生まれ、幼少時にミンダナオ島のダバオに移り住む。

・10代の頃は喧嘩にあけくれ、度々刑務所に出入りしていた。

・16歳の時に初めて人を刺殺した

・大学進学後、少数民族の出自をからかった同級生を銃撃

・タバオで10年間検察官として働いた後にダバオ市長へ

・フィリピン最悪だったタバオの治安を、犯罪者を超法規的に殺害することで改善

・自らも直接犯罪者を3人射殺、また強姦容疑者をヘリから投げ捨てる

・欧米の人権団体やマスコミはドゥテルテ氏を強く批判するも、住民は支持

・2016年よりフィリピン大統領に就任

・大統領就任後も犯罪者を超法規的に射殺することで治安を改善

・2020年1月21日に実施された世論調査で支持率は驚異の82%

 

犯罪者を自ら撃ち殺して治安を良くしたらしい。

大変に濃い人物だ。ウィキペディアを読むだけでお腹いっぱいになれる。

ロドリゴ・ドゥテルテ - Wikipedia

ドゥテルテ政権の支持率82%、全世代と全地域から高い支持(フィリピン) | ビジネス短信 - ジェトロ

 

 

2.ドゥテルテ大統領の公約

このドゥテルテ大統領の公約はシンプルだ。

汚職、麻薬、貧困を撲滅して治安をよくする」である。

その具体的な方法として、これまで通り犯罪者をどんどん現場で射殺する方法がとられた。犯罪者の人権より治安改善を優先した訳だ。

 

大統領就任後1か月で、逮捕現場で警官が犯罪者を射殺する事件が1,800件発生している。就任後半年で射殺された人数は6,182人まで増加した。

もちろんフィリピンにも法廷があり、人権は法律で保護されている。しかしドゥテルテ大統領は「人権に関する法律などは忘れてしまえ」と明言している。

海外の人権団体は当然のように非難しているが、フィリピン国民は「治安が良くなった」という結果を強く支持しているようだ。

 

一方、貧困対策は射殺だけでは行えない。貧困対策はどのように進めるのか。

ドゥテルテ大統領は経済にそれほど明るい訳ではない。そのため、フィリピン航空などの役員でもあるドミンゲス氏を財務大臣に指名し、貧困対策を任せた。

 

貧困対策の方法として以下の3つを上げている。

1.以前の経済政策を継続しながら外資の誘致を行って雇用を創出すること。

2.インフラ投資の拡大を行う事

3.包括的な税制改革を行う事

 

この3つはいずれもIPSにとっては追い風だ。

1.について、IPSはフィリピンにとって外資だし、「外資排斥」のような方向性が決まれば向かい風になる。しかしドゥテルテ大統領は、外資を誘致することで経済発展を目指す従来からの方法を踏襲するようだ。

 

2.について、IPSはフィリピンに通信インフラを構築している最中だ。今後も認可その他の仕事がやりやすくなると考えられる。

 

3.の税制改革には法人税の減税が含まれる。現在のフィリピンの法人税は30%だが、これを毎年1%ずつ減税して2029年には20%にする法案が提出されている。

更に新型コロナ感染症の影響で、法人税を即時25%に減税し、その後20%まで段階的に減らすという案も出されている。

これは、フィリピン国内通信通信事業を行う子会社であるInfiniVANや、医療・美容事業を行うShinagawa Lasik & Aesthetics Center Corporation にとっては間違いなく追い風になる。

https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201903/201903j.pdf#search=%27%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%86%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98+%E5%85%AC%E7%B4%84%27

法人税即時減税の税制改革修正法案を提出、経済特区優遇制度も一部修正(フィリピン) | ビジネス短信 - ジェトロ

 

 

3.フィリピンの産業

フィリピンの産業については、外務省のサイトにこのような記載がある。

「近年、コールセンター事業等のビジネス・プロセス・アウトソーシングBPO)産業を含めたサービス業が大きく成長(全就業人口の約58%が従事)(2019年1月)」

フィリピン基礎データ|外務省

 

 

「コールセンター事業などのBPO産業が大きく成長している」これはどういう事か。

フィリピンは1946年に独立するまでUSAの植民地だった。その事もあってかフィリピンでは英語普通に通じる。英語はフィリピンの公用語の1つだし、学校でフィリピノ語と共に教えられている。ハリウッド映画も字幕無しでテレビ放映されている。


フィリピン人は英語が話せるので、コールセンターが多数作られている。つまり、英語圏でお客様相談センターに電話すると、フィリピンに繋がって対応してくれる訳だ。
このビジネスが成り立つ条件として、海外とつながるインターネット回線が必要だ。いくら英語を話す人材が豊富でも、それをつなげる回線がなければどうしようもない。インターネット回線は、フィリピンの主要産業を支えるインフラなんだ。

 

このBPO産業の基本となるインターネット回線をIPSが敷設している。
フィリピン政府がIPSを排斥する可能性はとても低いだろう。

 

 

4.まとめ

ドゥテルテ大統領はかなりヤバい政治家だがフィリピンを良くしようと考えている

・そのために「汚職、麻薬、貧困を撲滅する」という公約を掲げている

・犯罪者の人権や法律遵守より治安改善を優先

・その手法をフィリピン国民は支持

・経済を発展させるため、外資誘致、インフラ投資拡大、税制改革を行っている

・フィリピンの産業構造からも、ネットインフラを作っているIPSの事業は追い風

・大統領の出身地であるミンダナオ島でもIPSは絶賛投資中

 ・フィリピン政府がIPSを排斥する可能性はとても低い

 

 海外でのビジネスはカントリーリスクがつきものだ。でも日本にも大震災などのリスクは確実に存在している。

海外でのビジネスがメインのIPSをポートフォリオに組み組むことは、震災などのリスクヘッジにもなるのではないか。そんな事も考えています。

 

 

  この本、思ったとおり良かったです。 

 

 山本潤さんが書いたもう一冊の本。こちらもおすすめです。

明豊ファシリティワークスの決算説明会動画を見て

バーチャルYouTuberのイラスト

1.明豊ファシリティワークス決算発表

5月15日に明豊ファシリティワークスは決算を発表した。

売上高43.5億円(前年同期比-22.2%)、経常利益906百万円(前年同期比+16.2%)だった。この数字は、会社の予想よりもコンセンサス予想よりも良かった。

 

発表の翌日、株価は下落した(チャートの赤い矢印が翌日)。

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その理由は来期予想にある。

売上高39.4億円(前年比-9.4%)、経常利益616百万円(前年比-32.0%)という来期予想を発表したからだ。配当も21.5円から12円に減ってしまった。

決算書は見た目が9割。これは株価が下がって当然だ。

 

 

そんな中、5月29日に決算説明会動画がアップされた。なぜそのような来期予想をしたのか?新型コロナ感染症の現在の影響は?今後の見通しはどうなのか?

気になる点をピックアップしていく。

 

 

2.新型コロナ感染症の影響について

まず新型コロナの影響について語っていた部分を箇条書きで。

・現在のプロジェクトはロックダウン下でも平常稼働している

・テレワークは20年前に開始しており、テレワーク先駆者百選総務大臣賞も受賞してる

・新型コロナの流行で新たなシステムは導入していない。いままで通りで対応可。

・ひとつのプロジェクトに対し2チーム制で動いている。一方のチームに感染者が出現しても、もう一方のチームがカバーし、プロジェクトが止まらない体制を構築した。

 

現在までの影響は軽微だとのこと。

 

・新型コロナの第1波は落ち着いたが第2波の規模や時期は不明。

・平時なら前年度売上実績を上回るが、プロジェクト中断・中止のリスクを踏まえ、来期予想の売上高を-9.4%と保守的に見積もった。

・配当額は今後の業績の伸びに応じて適宜見直す。

 

新型コロナの第2波が来なければ、あるいは来てもプロジェクトが中止されなければ、売上は前年を上回る予定。それに応じて配当も上方修正すると。

 

 

・世界的なサプライチェーン再構築の流れがあり、国内での工場新設案件の増加が見込まれる。

・自社で行っているテレワークやペーパーレス化のノウハウを活用し、今後のオフィス事業の一環として提供していく

 

新型コロナの影響は悪いことばかりじゃないようだ。

 

 

3.従業員数について

来期の売上減少の理由は上記の通り。

営業利益が売上以上に下がるのは「オフィス統合、システム開発、増員のため」だと言っていた。

今期、社員数を増やす予定のようだ。


一方、2019年度は社員数が減っている。

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これが一番気になった。

これまで何度も書いているが、明豊ファシリティワークスのビジネスにとっては人材が命だ。優秀な人材を十分に集めてこそ、会社の業績が伸びる。

 

今回、社員数が10人減少した。そのうち正社員減少数は4人だ。
4人退職して補充がなかったのか、あるいは6人退職して2人入社したのか。詳細はわからない。

しかしヒントはある。会社のサイトにある有資格者のページだ。

有資格者|明豊ファシリティワークスのコンストラクションマネジメント

このページに2020年5月31日現在の有資格者一覧が書かれている。


人材こそが明豊ファシリティワークスの成長に最も重要だと判断した私は、時々このページをキャプチャしている(↓はその一部)。

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手元にある2019年10月31日の同じページと比較してみた。ほとんど変化はないが、減少している資格者と増加している資格者があった。

 

減少している資格者

  一級建築士     3名減

  構造設計一級建築士 1名減

  建築仕上診断技術者 1名減

 

増加している資格者

 設備設計一級建築士            1名増

 認定コンストラクション・マネージャー  17名増

 LEED-AP                1名増

 CASBEE建築評価員             1名増

 認定ファシリティマネジャー       1名増

 

これ以外の有資格者数は変わらない。

 

元からいた社員が資格を取れば、有資格者数は増える。資格を喪失するような社員はいないと考えると、一級建築士が退職したのだろう。


構造一級建築士や設備設計一級建築士は、一級建築士の上位資格だ。設備設計一級建築士が1名増えているから一級建築士が1名減っているのかもしれない。

 

しかしこれを見ても、いまいちよくわからない。

 

 

4.転職サイトを覗いてみた

私は株を購入する前に、必ず転職サイトの口コミを確認する。

社員が良好な環境でその力を十分に発揮している、というのは企業の成長に不可欠だ。

ブラック企業に未来はないし、たとえ輝かしい成長の可能性があったとしても、そんな企業に投資したくない。

 

今回の社員数減少が、明豊ファシリティワークスの労働環境の悪化を意味していないか

確認するために、もう一度転職サイトを覗いてみた。

転職サイトなので、仕事を辞める人、辞めたい人が利用するのだろう。だから書かれて

いる口コミはある程度割引いて考える必要がある。個人の主観による書き込みなので、

互いに矛盾するような事も書いてある。それらを踏まえた上で、内容を参考にすればい

い。

 

その中でこんな記載を見つけた。

「良くも悪くも個人の能力を求められる。顧客からの引き抜きの声をかけられる・・」

顧客からのヘッドハンティングがあるようなのだ。

 

特に職場環境が悪くなっているような書き込みはない。ヘッドハンティングされて人材

が流出していることはありそうだ。

 

 

社員にもいろいろ都合がある。年老いた両親の面倒をみたいと思っていた矢先に、地元

の企業からヘッドハンティングされれば転職もあるだろう。

今回の社員数減少はそういう事情だと考えておくことにした。

 

 

なお、見たのはOpen worksというサイトです。

https://www.vorkers.com/company_answer.php?m_id=a0910000000FqeC

 

このサイトで比較された建築業界2,704社のなかで、明豊ファシリティワークスは「社員の士気ランキング3位」になっている。

これを見ても「ブラックな職場環境が社員のやる気を削ぎ退職者を増やしている」という事実はなさそうだ。

 

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このサイト、こんな感じに口コミの評価と経常利益をグラフにできたりもします。なかなか秀逸なサイトです。投資の参考に是非使ってみてください

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https://www.vorkers.com/a0910000000FqeC/analysis/

 

 

5.まとめ

・顧客のプロジェクト中止や延期がなければ来期売上は前期を上回る予定

・その時は利益も配当も上方修正されるだろう

・新型コロナ感染症によるプラスの影響すら考えられる

・社員数の減少は職場環境の悪化を意味していない。

・来年度、営業利益を削るほどの社員数増加に期待

 もちろんHold継続です。

 

 

 最近読んで面白かった投資本。

失敗にこそ学ぶ点が多いのは投資の世界でも当然当てはまります。

 

ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ

IPS・・・フィリピンのカントリーリスクについて①

南国・ハワイの夕焼けのイラスト

1.IPSの分析記事は書けない

私はコロナショック直前あたりから本格的にIPSを購入し始めた。本当はコロナショック直後に購入したかったが、それは欲張りすぎだろう。直前に買っただけでも十分に利益が乗っている。

そうなるとまた分析記事を書きたくなる。「人に説明できない企業の株を買ってはいけない」というのは私の投資のルールの1つだ。

 

しかしIPSの分析記事は圧倒的な先駆者がいる。

towanyan.blogspot.com

とわにゃんさんのブログと、IPSが出している会社説明補足資料を読めば十分。更にtwitterでふしちょうさんをフォローすれば完璧。それ以上は付け加える事が無いんじゃないか。そんな気がしてくる。

だから、IPSへの投資には欠かすことのできないフィリピンのカントリーリスクの評価について、調べたことを書くことにした。

 

 

2.IPSとフィリピン

IPSは、海外通信事業、フィリピン国内通信事業、国内通信事業、在日フィリピン関連事業、医療・美容事業の5つの事業を展開している。

この中で「国内通信事業」「在日フィリピン関連事業」以外の3つはフィリピン国内で展開されている。海外通信事業とは「フィリピンと海外の通信事業」だし、医療・美容事業は「フィリピン国内で行われている医療・美容事業」である。前年度の営業利益ベースで3分の2の事業がフィリピン国内で展開されており、今後その割合はますます増えるだろう。成長しているのは「海外通信事業」「フィリピン国内通信事業」「医療・美容事業」の3つなのだから。

 

そうなると心配なことが出てくる。

「フィリピンって大丈夫なのか」という事だ。

 

海外での事業というのはカントリーリスクを伴う。韓国や中国での反日運動が盛り上がって不買運動が広まった。展開する店舗が打ちこわしにあった。そのようなニュースは毎年のように聞く。アメリカでも2009年にトヨタが理不尽な訴訟を受けて40億円ほど賠償金を取られている。トヨタ自動車の大規模リコール (2009年-2010年) - Wikipedia

極論を言えば、国と国が戦争することになったら個人や企業の資産なんて確実に接収されてしまう。海外への投資は日本とその国との関係性が非常に重要になってくる。

 

IPSへの投資を考えた時、まずフィリピンについて色々調べた。

IPSそのもにについては語れない。だからフィリピンについて書くことにしたんだ。

第1回の今日は、日本とフィリピンの関係について。

 

 

3.外務省のサイトの記載

外務省のサイトには、世界各国の事情を簡潔にまとめた「国・地域」というページがある。四季報のように読めてなかなか楽しい。

その中に「二国間関係」という記載がある。

各国の記載を転記してみる。

 

 

大韓民国

日韓間には困難な問題があるが、これらを適切にマネージし、様々な分野で協力を進め、日韓関係を未来志向で前に進めていくことが重要。

 

中華人民共和国

日中関係は最も重要な二国間関係の一つ。日中両国は、地域と国際社会の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、安定した日中関係は地域及び国際社会の課題への対応等において重要。

 

このあたりの国の記載にはピリピリしたものを感じる。

それ以上のコメントはしません。

 

 

 ベトナム
現在、日越関係は「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」の下、政治、経済、安全保障、文化・人的交流など幅広い分野で緊密に連携している。

 

タイ

日タイ両国は600年にわたる交流の歴史を持ち、伝統的に友好関係を維持している。長年の両国の皇室・王室間の親密な関係を基礎に、政治、経済、文化等幅広い面で緊密且つ重層的な関係を築いており,人的交流は極めて活発である。

 

インドネシア

経済上の相互依存関係を背景に、両国の友好協力関係は近年、一層緊密化。2013年1月、安倍総理は就任後初の外国訪問において、ベトナム、タイ及びインドネシアを訪問。 2015年3月にジョコ・ウィドド大統領は就任後初の外遊先として日本を訪問し安倍総理と首脳会談を実施。両国の「戦略的パートナーシップ」一層強化していくことで一致した。

 

インド

日インド両国は1952年に国交を樹立、インド国内の強い親日感情にも支えられながら、友好関係を維持してきた。2000年8月の森総理訪印の際に「日印グローバル・パートナーシップ」構築に合意。その後、2005年4月の小泉総理訪印以降、ほぼ毎年交互に首脳が相手国を訪問し、年次首脳会談を実施。2014年9月にはモディ首相が訪日し、両国関係は「特別」戦略的グローバル・パートナーシップへ格上げされた。

 

このあたりは「友好国」といった記載だ。

一昔前は「日本は先の大戦で東南アジア各国を侵略した。その影響で東南アジア各国は反日感情が強い」などというマスコミの報道が多かった。

現在、そんなフィクションを信じている日本人は随分減ってきたと思われる。

 

 

そして本命。

フィリピン

両国間に大きな政治的懸案事項は存在せず、活発な貿易、投資、経済協力関係を背景に、両国関係は極めて良好。2011年9月に二国間関係を「戦略的パートナーシップ」に位置づけ。

 

「両国関係は極めて良好」との文字が見える。中華人民共和国大韓民国とは全然違う。東南アジア各国との記載を比べても、十分にHotな関係性を感じる事ができる。

 

実はフィリピンにとって日本は最大の貿易相手国であり、また最大の投資国でもある。更にフィリピンにとって日本は最大の援助供与国でもある。

 

フィリピン政府がIPSを含む日本企業を締め出す、あるいは不買運動を扇動する、という可能性はほとんどゼロだと考えている。

 

 

 

4.おまけ

やや本筋と離れるが、USAと台湾についての記載はこんな感じ。

米国

日米両国は、基本的価値及び戦略的利益を共有し、日米安保体制を中核とする強固な同盟関係にある。我が国は日米同盟の強化を外交の基軸とし、二国間の課題のみならず、アジア太平洋地域情勢やグローバルな課題等について、米国と連携しながら緊密に取り組んでいる。

 

台湾

台湾との関係は1972年の日中共同声明にあるとおりであり、非政府間の実務関係として維持されている。

 

台湾はあまりにそっけない記載が残念。

外務省の公式ページだから仕方が無いのはわかるけど、3.11であれほどの支援をしてくれた国なのに。

 

 

なんだか長くなりそうなので、今日はここまでにします。
ミンダナオ島の話とか、選挙の話とか、ドゥテルテ大統領の話などは次回に。

 

 

 

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コロナショック後の銘柄⑥ システムディはHold

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1.システムディの値動きがひどい話

システムディを初めて買ったのは2018年3月のことだ。

当時1株1,500円台で買った。その後1:2で株式分割しているので、現在の価格に直すと750円~800円の間で買った事になる。

それが下のチャートの矢印①だ。ここでポートフォリオの5%ほど買った。

その後矢印②で買い増しして、ポートフォリオの15%を占めるようになった。

 

そして2019年12月の決算発表でストップ安となった矢印③。ここでは入金までしてナンピン買いした。このときの購入価格は516円。これでポートフォリオの18%を占めるようになった。

 

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その後株価は回復、ストップ安の痛みを和らげるには十分な高値に至った。

 

しかしコロナショックが到来した。システムディの株価もそれにつられて下落した。

コロナショックの谷の一番深い場所、3月16日に2020年1Q決算が発表された。その内容が良かったため、翌日はストップ高になった。しかし地合いには勝てず、数日後、ストップ高はなかったことになった。

 

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日経平均のコロナショックでの底値が3月19日なのだから、そのタイミングの悪さは神がかっている。

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現在再び値を戻してきたが、こうしてみると本当に動きがひどい。株を握ったまま、なだらかな右肩上がりのチャートを楽しむ理想的な株主生活とは程遠い。

 

 

2.システムディを買った理由

そんなシステムディを買った理由は以前書いた。 

この記事を書いた頃は「中学生でも理解できるように」という意識で記事を書いていた。その意識が強すぎたためか、非常に表現がくどい。自分で読み直してもしんどいくらいだけど、よければ読んでください。

 

読むのが面倒くさい人向けにダイジェスト。

・システムディは、切り替えの効かない業務用ソフトをつくっている

・切り替えが効かないので、一度獲得した客はずっと客でいてくれる

・その業務用ソフトは売り切り型からクラウド型の移行が進んでいる

・よって、たとえ売上が上がらなくても利益は上がっていくことが予想される

 

そんなことを考えてシステムディを購入した。

 

 

3.コロナショック後のシステムディの業績は?

コロナショックによる社会構造の変化や景気後退が起こると仮定する。そうなった時のシステムディの業績はどうなるのか?

 

まず一番大事な事だが、業務用ソフトはそれなしでは仕事にならない。

コンビニでレジを使わずに商売することを考えてほしい。お金のやり取りだけでなく、何時にどんな商品がどんな客に売れたか等のデータを、レジで全て集計している。そのデータを使って次の商品の仕入れや商品開発をやっている。

レジを使わなくなれば、それらが全てできなくなる。業務用ソフトを使わないというのは、コンビニでレジを使わないのと同じことだ。業務をまったくやらなくなった時以外、業務用ソフトを使わなくなることはありえない。薬局も高校も大学も役所も、一度入れた業務用ソフトは使用を中止することなんてありえない。


だからその企業が潰れるか、完全に事業から撤退しない限り、システムディの売上は落ちない。そう考えていいと思う。

 

では、不景気による業務用ソフト導入企業の倒産や事業撤退の可能性はどうか?

システムディが業務用ソフトを提供しているのは以下の6分野だ。

① 学園ソリューション部門

ウェルネスソリューション部門

③ ソフトエンジニアリング部門

④ 公教育ソリューション部門

⑤ 公会計ソリューション部門

⑥ 薬局ソリューション部門

 

この6分野のうち、②のウェルネスソリューション部門以外は不景気による影響はほとんど無いと考えてよいだろう。自治体や学校が不景気で潰れる訳がないし、薬局も問題ない。
むしろ大学などは講義やテストをwebでやるようになって、システム導入需要が増えるのではないか、とすら考えている。

 

ウェルネスソリューション事業については、導入企業の倒産や事業撤退の可能性はありうる。ウェルネスソリューション事業はシステムディの売上の23%を占めている。前年度に1,142の施設に導入されているが、この数字が今後どうなっていくか注目したい。

 

 

4.コロナショック中も、クラウドへの移行は進んでいる

そんな訳で、システムディの事業はコロナショックや不景気には大きな影響を受けないのではないかと予想している。

コロナショック以前の流れである「売り切りソフトからクラウド型ソフトへの移行」はそのまま継続しているだろう。

3月16日に発表された2020年度1Qも、営業利益が初めて黒字になるなど、収益の構造が変わっていることが伺える(それ以前は毎年1Qの利益が赤字だった)。

 

システムディは利益構造が変化する最中にある。
もう少しこのままこの会社の行末を株主として見ていきたい。そして業績に見合った株価を見たい。そう考えてHoldしている。

 

 

 

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コロナショック後の銘柄⑤ ウィザスは売った

教室で勉強をする子どもたちのイラスト

1.ウィザスを買った理由

1年前にウィザスという企業についての記事を書いた。

詳しくは下に貼ったリンクをクリックしてほしいが、読むのが面倒な方もいると思うので箇条書きでまとめておく。

 

・ウィザスは塾と通信制高校の2つの事業を営んでいる。

・塾の方はそれほど成長していない。現状維持はまずまずできている。

通信制高校第一学院高等学校」は不登校の生徒その他を受け入れて業績を伸ばしている。

通信制高校と言いながら実際に週5日間通うコースもある。

・高校のコースと学費は以下の通り。

 ① 自宅でのWebがメインのコースは年間31万円の学費。

 ② 時々学校に通いながら慣れていくコースは年間74万円の学費。

 ③ 週5日間通学するコースは年間95万円の学費。 

・①で入学した生徒が②や③に途中で変更することが可能。これが上方修正を起こす。

 

・・・やっぱり上手くまとまらない。3つ目の記事にまとめがあるのでそれだけでも読んでください。

 

 

2.ウィザスへの投資がうまくいく条件

ウィザスを買ったときの私の目論見がうまくいくためには2つ条件が必要だ。

① 学習塾事業が足を引っ張らない

② 通信制高校の生徒がWeb通学からリアル通学にステップアップしていく

この条件は両方とも発動しないだろう。

 

学習塾事業は今回の新型コロナ感染症によって間違いなくダメージを受ける。もちろん遠隔授業などの対策が取られているだろうけど、全くの無傷である可能性はゼロだ。

 

もうひとつの通信制高校についてもダメージはある。もともとWebが中心の通信制高校だが、実際に学校に通うコースの方がずっと学費が高い。日本中の学校が休校になっている時期に、あえて実際に学校に通うコースへステップアップする奇特な人はいないだろう。よって、以前から期待されていた上方修正は起こらない。

 

通信制高校という時代の追い風を受けていた事業だが、コロナの逆風はあまりにもきつい。このように判断して、ウィザスは全て売った。

 

投資の前提条件が変わった時は、ポジションを変えなくてはいけない。

1年以上持っていたので愛着はある。一度は700円を超えて上昇していたのに、500円やそこらで売るのはツラい。

 

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でも売った。4月の終わり頃から5月のあたまにかけて全て売り切った。

新型コロナのパンデミックがなければもっとHOLDしていた。もっと株価も上がっていったと思う。そう考えていなければNISAで買ったりしない。

 

株に絶対はない。こういう事もあるんだ。

 

そして、私の予想に反して5月14日に良好な決算を出して株価がぶっ飛ぶ可能性もある。それでも「こういう事もある」と受け入れる。

その覚悟はできている。

 

 

 

キーエンスと明豊ファシリティワークス

ボトルシップのイラスト

1.明豊ファシリティワークスの記事

昨日書いた明豊ファシリティワークスの記事、とてもアクセスが多かった。

 

明豊ファシリティワークス、株価はさえないけど人気があるんだろうか?あるいは、以前からお世話になっている有名な投資家さんがtwitterで記事を紹介してくれたからアクセスが伸びているだけなんだろうか?

いずれにしても、書いている方はアクセスが増えると嬉しくなる。今日はシステムディの話を書こうかとも思っていたけど、もう1回明豊ファシリティワークスの話を書くことにした。

 

 

2.年寄りばかりの町の整形外科

昨日の記事の結論だけまとめると以下のようになる。

「明豊ファシリティワークスの仕事は新型コロナによる不景気が来ても多分減らない。それなのに株価が安くなってたので追加して買った」

 

ここで突然話は変わる。

年寄りばかりの町に整形外科のクリニックがあるとする。年寄りは膝や腰が痛くなるので、クリニックはいつも患者さんであふれている。整形外科医はいつも忙しく働いている。昼ご飯をゆっくり食べることもできないくらいだ。

 

このクリニックの売上を倍にするためにはどうすればいいか?

1.宣伝をして患者さんを広く集める

2.診療費を安くする

3.整形外科医を2人に増やす

 

患者さんは既にたくさんいる。医者はギリギリまで働いている。その状況で、売上を増やすための施策として1や2を選ぶ人はいないだろう。ボトルネックは整形外科医の数だ。

 

明豊ファシリティワークスの仕事が不景気でも減らない、というのはこんなイメージだ。仕事はいくらでもある。成長のためのボトルネックは人材だ。

ただのイメージだから本当かどうかは知らないけど。

 

 

3.キーエンスの話

株式投資を真面目にやってる投資家で、キーエンスという企業を知らない方は少ないだろう。

時価額 9兆6,000億円、国内時価総額ランキング4位(2020/5/8)

・社員の平均年収は 2,111万円、国内企業ランキング2位

・粗利益率 82%、営業利益率 54%

これだけでキーエンスの凄さは十分理解できる。

 

これだけ凄い企業なので、キーエンスについては散々語られている。いまさら私が説明するのはしんどいのだけど、少しだけ。

 

キーエンスは工場の製造ラインに必要なセンサーや測定機器を販売している。工場向けのBtoBの商売だ。営業が顧客企業の工場を訪問し、製造ラインを確認し、その生産性向上に役立つ商品を開発して売る。顧客企業にとっては製造ラインが改良されて生産性が上がりコストダウンになる。

コストダウンした金額の何割かを商品の代金としてキーエンスに払っても、顧客企業はトータルで儲かる。もちろんキーエンスも儲かる。そうやって高収益なビジネスが展開できるわけだ。

 

 

・商品を買った顧客企業は、払った分以上にコストダウンができて儲かる

・この世に工場の生産ラインがある限りキーエンスの仕事はなくならない

キーエンスの仕事が成り立つためには、社員の高い能力が不可欠

・高い能力の社員を集めるため、社員の給料は高い

・高い能力を持った社員が生み出したノウハウは社内に蓄積、それが別の社員にも共有化され、更に生産性が向上する

 

キーエンスのビジネスを雑にまとめると上記のようになると思う。

 

 

4.明豊ファシリティワークスの話

ようやく明豊ファシリティワークスの話に戻る。

明豊ファシリティワークスが展開するCM(コントラクション・マネジメント)は、キーエンスの仕事との共通点が多い。

 

・CMを導入した顧客は、払った分以上にコストダウンができて儲かる

・この世に建設や改修がある限り明豊ファシリティワークスの仕事はなくならない

・明豊ファシリティワークスの仕事が成り立つためには、社員の高い能力が不可欠

・高い能力を持った社員が生み出したノウハウは社内に蓄積、共有化され、更に生産性が向上する

 

田舎の整形外科も、キーエンスも、そのコアとなる価値は中で働く人が生み出している。価値を生み出す社員と、生み出した価値をノウハウとして社内に蓄積するシステムと、それを更に他の社員と共有していくシステム。整形外科医にもあるし、キーエンスにもあるんだろう。

そして明豊ファシリティワークスにもある。社長が出てくる決算動画を見ていると、ノウハウを蓄積して共有する社内システムの話がよく出てくる。

 

 

5.年収の話

明豊ファシリティワークの利益率はキーエンスほど高くない。社員の年収もキーエンスとは比べられない。それでも建設業界の中ではとても高い。

 

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明豊ファシリティワークスの年収偏差値:72.4 年収ランキング:2位

 

上のサイトを見ると、明豊ファシリティワークスの平均年収は建築業の中ではトップクラス、しかも毎年上がってきているようだ。コストが上がっているとは判断しない。優秀な人材を集めるために必要な手を打っていると判断している。

 

「明豊ファシリティワークスの本質は建築業ではなくてサービス業だ、だからサービス業と比較するべきだ」

このように考える事もできる。しかし、明豊ファシリティワークスのビジネスは建築業界でのビジネスであり、そのために必要な資格やスキルは建築業と共通する。よって、働く社員にとっての比較する企業は建築業で良いと考える。

 

 

6.まとめ

という訳で、まとめです。

 

・明豊ファシリティワークスのビジネスは人材が命

・優秀な人材とノウハウを蓄積する社内システムで高い付加価値を生み出している

・優秀な人材を集めるための報酬も問題なし

・それなのに株価は割安

・煽りかもしれません。必ずご自分で確認を。投資は自己責任で。

 

 

 新型コロナの事について調べようと思って読んだ本。

パニックという現象に多く言及しており、そのマネジメントについて書かれています。